2019年4月22日月曜日

山の報告です その八十七



 詰まり山頂の天候は回復し、下山禁止も解除されたのだろう。予想違わず、その後から二パーティが降りて来た。
 十七時には寝てしまった。何せ明日があるもんでね。Yはあっと言う間に寝付く。何時もの事だ。こっちは眠れずゴソゴソする。何時もの事だ。ただ、風は一級品だった。テントを潰す勢いなのだ。従ってあたしはテントに押され、叩かれる。時々物凄く押される。テント、大丈夫かなあ。
 うとうとして夜中に小用に出る。偉く面倒なんだが仕方ない。カッパを着込んで表に出ると、ペグはびくともしていない。プラのロングペグは凍った雪がバッチリ確保している。ロングペグも売ってる店が無く、Yが探し回って仕入れて来たのだ。実に役に立ってます。
 気分的にはその侭ずーっと起きて居た感じだが、合間にウトッとはしている筈だ。四時になったのでYを起こす。彼は殆ど寝ていたのだから見事だ。テントに(それも凄く)押されたのは知っていたから、たまには目を覚ましてはいたのだろう。
 バタバタとコーヒー、そして朝食を済ませ撤収に掛かる。風が弱まらないのでオーバーミトンを着けるつもりで、巻いたマットに差し込んでおいたのだが、Yの「手袋が飛んだ!」との叫びで見ると、西側の斜面にミトンが見える。ヒッゴー沢だ。アイゼン無しでは凍った雪の急斜面は下れない。慌ててアイゼンを着けた時には、もうミトンの姿は無かった。
 未練とは分かっていたが、大分降りて見たが、或る筈は無い。諦めて登り返した。選りに選って新品を持って来た。古いのが二組も有るのに、年末の赤岳で一回使っただけの物だ。使い勝手が良かったので持って来たのが仇になった。トホホ……。
 快晴なのは何よりだ。風の為、テントが風船の様にたなびいたが無事に収めて、風に煽られ乍ら出発。六時十五分だった。(続)

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