2019年1月8日火曜日

山の報告です その八十三



 身支度を整える頃には何人も登山者が出て来ていた。スパッツを着けない人も多い。スパッツを着けてない女性に「雪は深くないですか」と問うと「日本語良く分からない」。中国人か台湾人だろう。冬の八ヶ岳も国際的になったものである。
 結局スパッツは着けず。六時二十分、ヘッドライトを点けて歩き出す。トレースはバッチリ、文三郎尾根(多分そう呼ぶと思う。中岳と赤岳の鞍部上へ一気に突き上げる)へと入って行った。
 十二年前は深い雪の為金属の階段(工事現場の仕様)も雪の下だったが、今回は露出しているので歩き辛い。途中で一ヶ所緩むが、グングン登れるのが良い。尤もヒーヒー言わされちゃうんだけどね。
 緩んだ所で小休止するが、景色は微かに見える程度。阿弥陀と赤岳はあそこに有るなと認識できる程度だ。歩くにつれ風が強まって来る。強風は冬の八ヶ岳の名物(?)だもんで致し方ない。
 早朝会った南米人に追い付いた。彼は道を譲ろうとするが、彼の後をのんびり行く事にした。彼は暫く歩くと立ち止まって息をつくので、ついて行くあたしは楽なのだ。一寸と情けなくはあるんだけど。岩稜に掛かる所で、流石に抜いて先行した。
 何時の間にこんなに鎖を掛けたんだ、と驚く程鎖が整備されている。勿論雪が積もる様な傾斜じゃないので全部使用可である。偉く安全になったものだ。
 何人かと擦れ違う。速く出たのか、稜線の小屋から発ったかだろう。皆さん確りとフードを被っているので、山頂はもっと風が強いのだろう。あたしは無精を決め込んで目出帽の侭登っている。勿論風はやけに冷たいが、ヒーヒー言ってるので気にならないのだ。
 後少しで頂上で南米人の連れの日本人が待っている。一緒にピークに立つつもりなのだろう。(続)

0 件のコメント: