2019年1月19日土曜日

山の報告です その八十五



 途中に駅伝が入ったが、八ヶ岳の行者小屋に戻るとしよう。写真は入山日の赤岳。
 オーバーズボンを外してヤッケを脱ぐ。外すって変に聞こえるだろうが、両サイドのジッパーで外すのだ。靴やアイゼンを着けた侭脱ぐ事ができる。ヤッケって言い方は古すぎるかな。モンベルの冬用上下の上着だから、ジャケットとでも言えば良いのだろうか。
 身軽になって下山に掛かる。凍った路を嫌ってアイゼンは点けっぱなしだ。そんな見っとも無いのは嫌だけど、まあ、安全第一って事にした。恰好を気にする柄でも歳でもないもんなので。
 雪が無くなると偉く歩き辛い。前後して下っていた単独男性はアイゼンを外した。彼は歩き出して直ぐに滑って転んだ。矢張りこの侭で下ろう。
 美濃戸小屋でアイゼンを外していると、二人の八十近いと思われる女性が登って来た。「アイゼンはいりますか」と聞かれ「必要無いでしょう、チェーンがあれば良いですよ」と答えたが「凍ってるってさ」と連れに言っている。今日は美濃戸小屋泊まりらしいので、まあ良いか、である。
 バス停に着くと若者が小型テントを広げて畳み直している。昨夜はさぞや寒かっただろう。テントの冬山は、もうとてもじゃないが無理だなあ。バスが着くと小屋から登山者が十人程も出て来た。小屋で温まっていた訳だ。
 茅野駅で立ち蕎麦を食べる。此処も生蕎麦を茹でて出す。世の中は変わりましたなあ。昔は伸びた蕎麦を湯通しして出したもんだ。山帰りではそれでも充分美味しかったんだが。
 空いた梓でビールを飲み、窓に目をやると赤岳が見える。畜生、午後に晴れやがったか、と呻いてもどう仕様も無い。無事にビールを飲めただけでも何よりなんだから。
 かくして十二年ぶりの冬山は終わった。そして多分、今世最後の冬山になるでしょう。

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