2019年1月26日土曜日

閑話番外 その百九



 去年の暮の赤岳、余り自信はなかったが行けて良かった。天気が良ければもっと良かったが、きっと心掛けが悪かったんだろう。写真は赤岳山頂の祠です。
 無事には帰ったが、一ヶ所冷っとした事があった。文三郎尾根(多分そう呼んだ筈だ)は急な為工事現場の様な金属階段が連続する。それに雪が乗ってるので、結構歩き辛い。そんなこたあ既述でしたな、失礼。
 階段には手すりのパイプが付いている。階段と階段の間の斜面には鎖がある事が多い。詰まり、この尾根も凄く手入れがされている訳だ。安全な八ヶ岳に大分近づいている。
 その尾根の下り、鎖の掛かっている所で、アイゼンの先を鎖に引っ掛けちまっただよお。どうしてそんな事になるかってえと、鎖の中ほどはたるんでいて、雪が積もってるので地すれすれになっている。そしてアイゼン。十二本爪の出歯アイゼンなのだ。昔は出歯アイゼンなんか特殊な山登りでしか使わず、八本爪が普通だった。でも今は十二本出歯アイゼンが普通なのだ。高くても買える様になったからだろう。出歯なんて邪魔なだけなのに。
 その邪魔な出歯が鎖に引っ掛かったのだ。当然前のめりに転倒しそうになった瞬間、歯が外れて体制を立て直せた。その侭転倒しても死にやしないだろうが、何せ急な尾根を前倒れに転がるのだから、決して無事では済んでいない。雪は着いていても岩稜なのだから、大怪我したかもなのだ。
 事故の殆どは下りで起きる。注意はしていたのだが、やっちまったぜ。歳なんだから咄嗟の反応も鈍い。若い頃なら出歯を取られても踏み止まれただろう。今は転がり落ちるばかりなのだ。
 何にせよ、無事で何よりでした。

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