2018年11月3日土曜日

山の報告です その七十六



 檜洞丸への登りで一寸とつりかけた。騙し乍ら辿り着いたが無理は禁物、下りも極力セーブする。下り切ると尾根が痩せ、細かいアップダウンが始まる。
 色付く木々に慰められて行く。登りが続く様になった。これは臼ヶ岳の登りだなと頑張っているうちに臼に着いた。蛭は大分近づき、相当高く聳え、あれを登るかと覚悟する。
 臼から結構下らされる。ヒーヒー登り返すと日陰沢ノ頭だ。そこから又下るので、もう勘弁してよと呟いちまったぜ。下った分、ノシをうんと付けて登り返さなけりゃなんないんだもんねえ。
 文句を言っても始まらない。好きで来たんだから黙って下れば良いのだが、誰もいないもんでブツブツ言う、おバカなあたし。
 さて、最後の登りに取り付いた。本日のハイライトってとこだろう。もう一寸と楽しいハイライトならええんじゃがのお。
 鎖場となる。昔はそんなものは無かった。唯々急で、岩場っぽい所だって気を付けて通過するのみだった。尤も大昔の事だけどね。
 鎖はピカピカ、確り利用させて貰った。本当に急な所は短い区間のみ、あとは念の為って感じかな。それでも足元が良い訳ではないので、下る人には心強い味方だろう。
 鎖場が終わると木道となり、傾斜も緩む。そして蛭の頂上に立った。残念な事に薄くガスが掛かり、景色は霞んでしまった。でも良いのさ、目の前に山荘が待っているんだ。
 枝の杖は外に置き、チェックインする。今回は予約をしておいたので揉め事は無しだ。山小屋に予約が必要とは、嫌な時代になったもんだ。予約無しなら断るとしたら、断られた登山者はどうすりゃ良いんだ。悪天候なら遭難騒ぎは目に見えているのに。
 自炊は三人、あたしの三歳上の男性と二十代の女の子だ。こんなに自炊が多いのは珍しい。ストーブも赤々と燃えている。(続)

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