メッチャお馴染みのバカ尾根下りである。流石に登って来る人はいない。塔に泊まった諸君は彼方此方へ向かって行動中だろう。
暫く下ると登って来る人がいた。一番のバスにしては早過ぎる。車で来たんだろうね。それからはポツポツと人と擦れ違う。こんな早く登って来る諸君はバテてなんかいない。流石だ、と思わされる。
花立小屋の前には数人休んでいる。何時もの風景だ。男性が一人大階段を登り、其の侭水を飲み乍ら休まず登って行く。これは凄い。大階段を登ってその侭行く人は滅多にいるもんじゃない。休んで当然なのだ。
ここいらから人は増えるが、バテている人も増える。例に依って大階段の途中で若者が休んでいる。そう、急ぐ事はない、自分のペースで登るしかないのだから。
駒止を越えて階段を下って居ると英語が聞こえる。小柄な女性が来るので道を譲ると「主人がいますので」と振り返った。少々下で大柄な白人男性が「休む方が楽です」と笑い乍ら手を振っている。あたしも思わず笑って「頑張って下さい」と言いつつ擦れ違った。
一本松下の楓は未だ色付いてはいない。殺風景なバカ尾根に(多分)少しでも見せ場を造ろうと、神奈川県がせっせと楓を植えたのだ。それが大きく育ったってこってす。
大倉に着いたのが十一時十五分。地図上では五時間のルートだから三十分余分に掛かっている。五分オーバーなら悔しくもあるが、三十分となるとさっぱりしたもので、おらあ遅かったんだなあ、と素直になっちまったですよ。下り気味のルートなのにね。
鶴巻温泉で途中下車し、里湯に入って帰る。
それから三日間、筋肉痛で参った。たかが主稜で、と言える歳ではないって事で、主稜をやるってえのが大仕事になったですなあ。
久方振りの檜洞丸からの蛭ヶ岳、それなりに大変ではあったが素晴らしくもありました。(この章終わり)
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