2018年9月27日木曜日

山の報告です その七十一


 最初の目的地は木曽駒ヶ岳(2956.3m)、三mに一寸と足らずに残念。三十分も登れば到着である。頂上には十人程の登山者で賑やかだ。
目の下に宝剣岳、その後ろに続く中ア核心部の山々。東には雲海の上に居並ぶ南アの連山。東北東の御嶽、北には北ア、一際目立つのが槍ヶ岳だ。360度の大眺望なのだ。
 「今日が初めてだよ」と声がする。ずーっと天気が悪かったそうだ。東京でもずーっと天気が悪かったのだから、山では尚更だろう。偉くラッキーな日を縦走日に選んだ訳だ。昨日だったらガスの中だし、其の前なら雨だ。思いの外あたしは心掛けが良いのかな?ま、運が(凄く)良かったってこってす。
 此処からが未だ踏んで無い稜線で、将棋頭への“雲上のプロムナード”となる予定なのだ。下りから始まる。ピークを降りるのだから当たり前ですなあ。
 三十代の女性単独者が前を行く。宝剣山荘に泊まって将棋頭へ行き、濃ヶ池カールを通って山荘に戻り下山だそうだ。「リタイアするかも知れません」と悲しい事を言う。
 後ろからは六十代の女性と五十代の男性のパーティが来る。彼女と同じルートをやるそうだ。濃ヶ池カールは右下に見えるが、「あそこへ下って登り返すのは、結構きつそうですね」と余計な事を言ってしまった。
 一寸とした広場で写真を撮って、踏み跡を辿ると崖の上で踏み跡は途絶えた。ルートを外した訳だ。左上に岩の小ピークが見える。ルートはあそこだな。
 這い松のトラバースを始めた。十分位だったが、数十年ぶりの這い松漕ぎだ。思いっ切り松の臭いを嗅ぎ乍ら岩のピーク、ちゃんとした道に出た。其処から程無く濃ヶ池へ分岐だ、単独女性がアノラックを脱いでいるところだった。あたしは先へ進んだが三人共将棋は諦めたらしくもう会う事は無かった。(続)

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