2018年8月18日土曜日

閑話 その二百六十六




 暑い暑いお盆を迎えて、久し振りに一ノ沢へ入ろうと、Yと出掛ける事にした。渋沢駅で待ち合わせは例の通りだ。
 海老名の手前で急ブレーキ、電車が止まった。車内放送があって「海老名で人身事故です。暫く停車致します」。え、困っちまうぜ。
 又放送で「運転再開は八時三十分頃の予定です」。何と、一時間も車内に閉じ込めかよお、も少し早くなんないのけえ、と文句を言っても無駄なのは分かっている。結局たっぷり一時間閉じ込められました。
 渋沢でYと会い、丁度待っていたバスに乗って大倉へ着いた。予定より一時間以上は遅れてしまった。
 登山者は十人程しかいない。暑さの所為と電車の遅れの所為だろう。二股方面へ歩き出すと即汗が滲む。ひどい蒸し方なのだ。暑いのは良い、夏なんだから当然だ。蒸すのがいけない。滅茶苦茶に消耗する。
 この日の天気予報は十五時近くより雨、それも秦野地方は土砂降りになると言う。と言う事は、山ではもっと早く降ると言う事だ。最初の休憩で結論を出した。尾根に取り付いて林道へ上がり、其処から沢に入るのだが、沢は捨てて尾根を詰めよう。ラベルに偽り有りになっちまいましたなあ。
 尾根を詰めるったって幕営具と水と酒を担いでいるので、路が無い路(?)を登るのは大変なの。それに凄く蒸すしぃ。
 急斜面に着いた時はその急斜が壁に見えた。空身なら何でもないのだが、水と酒を、繰り返しは止そう。それが楽しみなんだから。
 “壁”を登り切ったらYが「つった!」と言う。大腿四頭筋だ。こりゃダメだなとテントを張る覚悟を決め場所を探すが斜面のみだ。
Y「此処で張るの?」
私「仕方ないさ」
Y「登って見るよ」
 騙し騙し登る事になった。本格的につってはいないのだ。(続)

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