2018年7月22日日曜日

閑話 その二百六十二



 通販で買った地下足袋が来たので、七月一日に塔へ行って来た。梅雨も早々に開けたので久しぶりの塔にしたのだ。地下足袋に関しては番外で触れよう。
 日曜日一番のバスに乗り込む。長い列が出来ていて、その最後尾に着いた。バスに乗り込む段になって驚いた。知らない間に後ろに三十人程が並んでいる。バスは見る見る満員になり十人以上が乗り切れない。係員が運転手に「時間通りに出して、臨時が出るから」と指示している。
 大倉に着くと既に六人程が身支度をしている。車で来たかタクシーで来たかなのだろう。あたしの乗ったバスからゾロゾロ降りているのに臨時バスが着く。二十人位しか乗ってない。しまった、臨時にすれば良かった。
 ほぼ一番に歩き出す。単独行の強みだ。行動が早い。でも歩くのは遅いのでどんどん抜かれる。勿論想定内だ。バスの中も七割近くが若者なんだからね。
 カップルが多い。一本松の大分下で休んでいたカップルの男性が「もう行こうか」と声を掛けると女性が「うん」と答える。若々しい「うん」である。あたしの妻ならこうは行くまい。「え、もう行くの」ってなとこだ。
 例に依って堀山小屋迄ワンピッチで行く。駒止小屋を越えれば堀山小屋は直ぐだと思っていたが、何の何の、相当歩かされた。歳を重ねて分かる事もあらあね。ま、この場合は体力が落ちたってだけなんだけどね。
 一服つけていると中年のカップルがやって来た。旦那が「俺だってもう一杯だよ」と言っている。え、此処で一杯じゃあ先が辛いぞ。此処からが本番なんだから。
 吉沢階段を登っていると後ろに人がついた。路を譲ったら同年輩の男性だった。「ゆっくり行きたいんですけどねえ」と言いつつ抜いて行ったが、差はジリジリと広がる。速い人は速いのだ。あたしでは敵わない。(続)

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