2018年7月14日土曜日

どうしよう! その十二




 その一番低い部分は、苗場プリンスから雪道を歩き登山道へと入るのだが、雪で路なんて全く分からないのは常の通りだ。問題なのは国境稜線に取り付くには川を渡らなければならない事だ。
 地図では丸木橋ありとなっているが、雪で落ちちゃってるに決まってる。現に幾ら探してもない。夏なら渡渉も可能かも知れないが、大きくもない流れでも、雪解けで増水して渦を巻いて流れている。
 前年にYと三坂峠近くへ登った時は雪橋が其処らじゅうに掛かっていた。雪橋ってなあに? って思う人がいるだろうから説明しよう。豪雪地帯では川も雪の下になる。勿論水は流れている。春が来て雪が締まって来ると流れの上の雪も締まる。詰まり雪渓となる。
 春の上越の沢で(上越でなくてもだけどね)、それを踏み抜いて流れに落ちたらまず助からない。絶対に助からないが正しいだろう。雪渓の薄い部分があちこち崩れ落ちて、残った雪の部分が橋の様になる。それが雪橋だ。
 で、その単独行だった年は雪橋が無かったのだ。とてもじゃないがザックを背負って飛び越せる幅ではない。渡れなければすごすごと苗場プリンスへ帰るのみだ。
 最初に単独で山中二泊して越後湯沢でYと落ち合い、一晩駅で寝てから更に山中二泊する予定だったので食料は六日分担いでいる。今更どのツラ下げて帰れますか! 絶対に渡ってやるんだ。

0 件のコメント: