2018年5月16日水曜日

山の報告です その六十六


                                                         
 未だ牛ヶ岳の頂上だ。Yに先に戻って本峰で待ち合わせとして、写真を撮っていた訳だ。後を追うと一ヶ所凍った所があって危うく転倒する処だった。あぶねえあぶねえ。
 Yに追い付くと、彼はその凍った所で尻餅をついたと言う。無理も無い。敷かれた板に氷が付いているので見えないのだから。
 本峰に戻り、這い松の陰の風当たりの弱い場所でコーヒーを沸かして飲む。周りはやや白銀の山々。うーん、今年は積雪は多かったのだが、異様に暖かくなってどんどん融けて
もうたので、斑に白くなっただよ。
 贅沢は言うまい。一応でも白い山々を見乍らのコーヒーなんて最高なんだからさ。アルミカップのインスタントコーヒーでも、極上のシチュエーションでメッチャ旨くなるのだ。
 さて下山に掛かると登って来る。どんどん来る。車で来て、明るくなったら登り出したのだろう。若者が殆どだなあ。
 急坂に繋がる藪の出口に来た。今迄外していたアイゼンをYは装着する。そこへ関西訛の若者が二人、藪に足を取られ乍ら上がって来た。二人で急坂を下るのが危ないと心配しているので、午後には雪が腐るから全く大丈夫だと言って安心させる。
 問題はあたしとYだ。未だ午前中なので来た時程ではないが雪が硬い。アイゼンの無いあたしは踵を打ち付けるだけでは不安なので、靴の側面を打ち付けて横歩きで下る。振り返るとYも横下りだ。アイゼンが有るのになあ。
 我々の横を若者のパーティが下って行く。気楽に尻で滑って行く者もいる。いやいや、歳を取りました。あたしだってあの年頃なら尻でサーッと滑り降りただろう。何せ北穂沢を滑り降りたのだから、こんな斜面なんざ何って事ないじゃんさあ。
 昔の事です。今じゃあバランスにもストップにも全く自信を持てない。従ってモタモタと下って行くのであります。

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