2018年1月28日日曜日

閑話 その二百四十九






 一月二十二日に関東に大雪が降った。あれで大雪って言ったら、東北・新潟・北陸の人に笑われるだろうけどね。
 雪は当然丹沢にも降った。で、二日後に塔へ行って来たです。雪の翌日は未だ交通機関が乱れてるだろうし。
 写真はその日に花立から眺めた塔ノ嶽。
 渋沢の一番バスは、やや余裕のある満員。雪の後の一番バスに乗ろうなんて人は、どう見たって素人衆ではなく手練れな皆さんだ。
 あたしの横に立って居るおばさん達の会話が耳に入る。「昨日は大変だったでしょう?」「雪が滑るので、花立からアイゼンを着けたわ」えー、昨日塔へ登って、今日も又登るのかい! 「昔はトレースが無ければ喜んだけど、今じゃトレースがあると大喜びよ」「分かる分かる」うーん、相当やり込んでるなあ。
 トイレに入ったり、スパッツを着けたりで、ラスト近くでの出発になる。前後するのは二、三人の中高年だ。若い諸君はどーーっと行ってしもうた。
 一本松を過ぎてからの登りは、昨日融けた雪が凍ってツルツルになっている。駒止への階段も氷に覆われて、とうとう横に逸れて雪の上で軽アイゼンを着けた。その横をアイゼン無しで登って行く中年男性。
 今迄に無い事だ、馬鹿尾根の登りにアイゼンなんて。いや、凍った下りだってアイゼン無しでやって来たじゃないか。
 七十歳ですな。氷の上に靴を置いて滑らないのは、瞬間にキュッと靴底を打ち付けていたのだろう。それが出来なくなった。そしてバランス感覚も怪しくなったので、凍った階段を登るのに危険を感じた訳だ。
 詰まり小気味よく体を動かせなくなったって事で、事実の前には謙虚であるべきだ。モタついた爺さんになったって事ですなあ。昔は粋な足さばきなんてえのもあったけどね。
 アイゼンを着けてからは急に安全になったが、一抹の寂しさを感じつつ登ります。(続)

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