2017年10月20日金曜日

山の報告です その五十八




 あたしより少々若いと見える男性が抜いて行く。後に続いて岩場を登ると西穂頂上だった。中年女性が一人いて、都合三人が頂上に立った。勿論相変わらずの快晴であった。
男性「こんなに見晴らせるのは珍しいですよ」
女性「この夏は散々でしたねえ」
男性「忍耐強くなりました」
 ひとしきり一望の山々が何処の山かで話が弾んだ。地図に照らし合わせて、最初に薬師と思った山は立山だとなった。
私「左奥が薬師ですね」
男性「野口五郎は其の左手前ですかね」
 私「そうでしょう。此れで決まりって事で」
 下の写真が薬師岳方面。


勝手に山を決めてワイワイやってる処へ、若者が奥穂方面から登って来た。
若者「奥穂から二時間半で着いたです」
私・男性「えー、二時間半!」
 飛んでもないカモシカ野郎だ。大体からしてあたしなら通行不可能なルートなんだからさあ。風の様にやって来たのだろう。
 下りが気がかりなので先に頂上を辞した。登って来れたのだから下れるのだけれど、慎重を期するので時間を喰うと思ったのだ。


 焼岳と乗鞍です。手前がこれから下って行く稜線。
 幾つめかの下りで、奥穂からの若者に抜かれた。彼は岩を背にして尻で滑る様に下って行く。こりゃあ速い訳だ。明らかに岩に慣れ親しんだ動きだ。真似は金輪際出来っこない。
 例の娘さん二人とも擦れ違った。どうにか登って行く。あの調子なら大丈夫だろう。あたしもどうにか大丈夫だ。二カ所巻きに鎖が掛かっていた。特にどうと言う事の無い所だ。唯、横がスㇳ―ンと切れている。多分、事故が有った場所なのだろう。落ちたら即「さようなら」な所なのでね。
 意外と早く独標に着いた。此処からは危険とはおさらば、気楽に下って行くとどんどん登って来る。其の前でズズーと滑った。若い衆に「大丈夫ですか」と声を掛けられて苦笑いしたのは情けなかった。続きます。

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