2017年9月23日土曜日

秋はシャム猫の様に その四




 秋は魔物だ。発作的に山が招く。会社の帰りに満月だったので、家に帰って折り返して車を飛ばし、三ノ塔へ登って、真夜中に月明りでコーヒーを沸かした話は、前にした。
 満月だったのでライトは不用だ。夜道を月が明るく照らしてくれる。山々も月明りに照らされて鎮まっている。秋なればこその贅沢ってもんでしょうが。
 帰宅は午前様。寝たかどうかで即御出勤だけれども、若さとは素晴らしいもので何でもナイナイ。今なら、勘弁してよ~、になっちまうのだ。帰らぬ昔ですなあ。
 秋の主脈の清々しさは、丹沢一であるのは疑い無いだろう。ま、春夏秋冬を問わず主脈は、丹沢で一番清々しいのだけどね。
 春や夏と違って空気が澄み渡っている。勿論冬もそうなのだが、寒過ぎて清々しさを堪能するにはちとキツい。疑う方は、冬の主脈で清々しさを堪能されるが宜しい。
 そうねえ、三十分も有れば鼻水だらけ、手はジンジン痛んで震えも来て、こりゃいけねえや、と仰る事疑い無しなのだ。
 従って秋だ。澄んだ空気と空を知るのは秋なのだ。主脈でなくてもそうなのだけど、主脈は其の代表ってこってす。
 秋の大室山は、夏の意地悪い(失礼)山とは別物になる。何時迄も辿り着かない頂上には変わりが無いのだが、蒸さない! そして纏わり付く煩い虫もいない!
 世の中が変わるのだ。木々は色付き空気は爽やか。登りにくい路だって、自然と稼げるのだ。あ、変なコースを念頭に置いた話なんで、違和感が有ったら失礼。当然乍ら普通の登山道だって、見事に秋なのですぞ。
 破風口で吹き付けて来る風は、寒いと言うべきだろう。夏とは全く違う、清冽な風だ。おお、秋だなあ、って思わされる。そして加入道へ向かうのだ。

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