2017年9月10日日曜日

秋はシャム猫の様に その二




 さて、此処いらからだ。山は秋、其の侘しさが分かりますか? 
 私は、季節で好きなのは春だ。当たり前過ぎる話で済みません。其れが秋でも、当たり前過ぎる話ですなあ。冬だとか、めっちゃ暑い夏だとか、じめついた梅雨が好きと言うなら、話にもなるだろうけどね。
 残念乍ら、俗人の私は春が好きなの。若い頃には、春は苦しくなったが(随分前に休題に書いた。一寸と前に本文にも)、好きなものは仕様が無い。でも、山では“秋が侘しい”のがとても宜しい。
 此の場合の侘しいは、プラスの表現で有って、言い換えれば「素晴らしい侘しさを感じる事が出来る」と言う事。
 此れ又前述だけれど、午後になれば夕方の気配が漂う。初夏は十九時でも薄明るさが残るが、秋(特に晩秋)には十六時には薄暗くなる。三時間も違うのだ。依って、午後には早くも夕方の気配なのだ。
 其れが寂しくも侘しい。晴れて居れば、高い空は真っ青で、鰯雲でも浮かべて居るだろう。秋風に吹かれて夕暮れ近い(と感じられる)頂上に居ると、そりゃあ良いもんだ。
 明るいうちに下らなければ、と焦りも有るが、其れも侘しさの一つなの。で、ススキでも開いて居て御覧なさい、秋の山には俺一人、なんて気分になれるのだ。
 何か焦って唯一人、それの何処が良いんだって? うーん、此処迄の説明で分からなければ、実際行って貰うしか無いだろう。そうすれば、多分分かって貰える筈なのだが、好みが大きく影響するので保証は出来ません。悪しからず。
 秋は山々が色付く。丹沢では紅は少なく、ブナ林帯の黄色が基調だ。黄色くなった山に、チラホラと紅が混じる。渋いですなあ。大体十月が見頃で有る。

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