2017年8月5日土曜日

悪い事ばかりではなかった その六





 真夏に雨山峠で寝た事が有った。ツェルトもシェラフも無く、地べたにごろ寝である。夏の丹沢なればこその寝方だろう。尤も、明け方には余りに冷え込みで、寝ては居られなくなっちゃったんだけどね。
 半袖に半ズボンの侭だったんで、そうなる訳ですなあ。セーターでも着こんで居れば大丈夫だっただろうに。良いこの皆さんはそんなバカな真似はしないようにね。え、そんなのはお前だけだって? そうです。。。。
 真夏の畦ヶ丸へ向かった。随分昔。どの位昔だか忘れてもうただよ。蝉がやかましいんだよ、此れがさ。其れに川の音が加わって大騒ぎ。登るにつれて川音は遠ざかり、蝉の声のみになって行く。暑さも段々和らいで行くのも、足を止めると分かる。生暖かいそよ風が、涼しい風に変わって行くのだ。
 かっと日が照りつける頂上は無人だった(と思う、何せ昔なんで)。でも暑くなんてないんですよ、畦ヶ丸は。昔の案内書では“怪峰“なぞと呼ばれて居たが、良い山なのだ。何たって名前が良い。如何にも奥に控えて居ると言う感じが堪らないのだ。畦ヶ丸は夏の山だと私の中では位置づけられて居るのだ。
 真逆なのが菰吊山南方山域だ。夏にはどうもねえ、と思わされる。藪っぽいからなんだけれど、モロ南面なのも響いて居るのだろう。どんどん標高は下がるし、日当たりは良いし、藪は蒸すし、畜生、最高じゃんかさあ!
 加えて、何処に下っても長い林道歩きが待って居る。真夏の林道歩きは嬉しく無い。ご勘弁願いたいトップクラスだろう。
 夏の雨の山。そうは喜べないが、暑さとは無縁なのが宜しい。雨具を着込むと、其れが暑いのが欠点では有る。前は開けておくしか無い。1200m以上ならきっちり着込んで居ても問題無い。風が強ければ、寒い程だ。
 今の諸君は確りしたゴアの雨具なので、雨の丹沢だって充分楽しめるだろう。私の雨具は水が染み込むものだったので、結構大変だったんだけどね。
 夏の丹沢の良い点を挙げて見た。思いの外に、悪く無い。但しアプローチは蒸されて暑いのは仕方無い。
 其処を抜ければ、素敵な夏の丹沢が待って居ますよ!
 (此の章終わり)

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