2017年5月25日木曜日

山の報告です その五十四




 最終日の五日、目覚めるともう薄明るい。Yも同時に目覚めて、急いでシェラフを畳みコーヒーを沸かす。天気は上々、この連休は見事に好天に恵まれた。
 六時四十分に撤収終えて出発。雪を下って行くと、意外に早くスキー場に入った。随分とスキー場に近い場所で幕営していたのだ。
 コースは綺麗に均されている。昨夜雪上車で作業したのだろうが、此の広いスキー場を済から隅まで均すのは大変だろう。
 ダラダラ下って、此れから登り返しに近くなったら、小型の雪上車が何台も降りて来て走り去る。係員が配置に着くのだろう。
 一台が近寄って来て止まった。
「一昨日苗場山へ向かった人だね」
 あの横柄な坊主頭の警備員だった。明らかに無事で良かった、と言う顔つきである。ふーん、思いの外に良い奴じゃんかさあ。
 直登して、とは言ってもスキー場なので何て事ないが、ゴンドラ駅に登り着いた。がっちりした体格の係員がいた。
係員「尾根の上にオレンジのテントを張った方ですか」
私「そうです」
係員「様子を見に行こうかなんて話してたんですよ」
 オレンジは目立つから見えたのだろう。日が暮れればローソクの明かりで浮き出ると言う訳か。気に掛けていてくれてたんだ。
 入山日の「へん、何だこんなスキー場、でいっ嫌えだ」って気持ちが一篇に消え去ってしまった。人間なんて勝手なもんである。え、お前だけだって? そうでもないと思うんだけど、Yもそうだったし。説得力ない?
 一番のゴンドラで下り、接続するバスで越後湯沢へ着いたは良いが、早すぎた。駅蕎麦は十一時からだと言う。温泉は十時からだ。ああ、山菜蕎麦が食べたかった、結局パンと酒を買って、新幹線に乗り込んだのでした。

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