2017年5月10日水曜日

山の報告です その四十九




 面白い物で、リフトに乗せてくれないと言うだけで、何もかも気に喰わなくなるもんだ。けっ、こんなスキー場、とすっかり嫌ってもうただよ。
 嫌なスキー場をやっと抜けて稜線を行く。1659mのピーク手前で幕営。未だ二時間位しか歩いてない。時刻は十時三十分である。もうテントを張るのけえ?とは誰も言わない。
此の時期でも一泊でピストン出来る山で二泊するのが、我々の流儀だ。折角の雪山を楽しまないで何とする。其れに二人共六十代、あたしに至っては此の十二月で七十になる。無理しない(出来ない)が鉄則さ。
 十二時には酒盛り。ひどくグータラな奴等だが、それが目的の一つ(?)であるのだから、結構な事だ。為に、酒はバッチリと担いで来ているのだ。ダメなパーティですなあ。
 ザクザクと足音が近づいて来た。テントの前に四十前と見えるカップルが立った。
私「白砂ですか」
男性「そうです」
私「単独行の男性が別ルートから入ってます」
女性「それは心強いです」
 挨拶を交わして二人は進んで行った。油が乗り切った年齢だ。あたしだって十年若ければ、いや、手術さえ無ければ同じルートをやっていただろうになあ。
 これで明日は少なくとも三人のトレースが有る訳で、とても嬉しい。苗場山のやけに急な斜面を、どうやって登るのだろう、と眺めていたのだが、トレースが導いてくれるのだから一安心ってこってす。
 夜中に小用の為に出ると満天の星。明日の天気は保証された。それからグングンと冷えて来た。寒いが結構な徴候だ。
 四日の朝は予想通りの快晴。ただ、一寸と霞っぽいのは仕方無いだろう。大鼾でたっぷり寝たYと、うつらうつらと少しは寝たあたしは、先ずは元気である。続きます。

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