2017年5月23日火曜日

山の報告です その五十三




 山でスキーヤーに会っても何だか他人の気分が拭えない。登山者に会えば身内だと思うのは、当たり前とは言えるけど、一寸と面白い。どっちも他人なのにね。
 其の三人パーティは先頭の女性がリーダーだった様だ。全員三十代の油が乗り切った、と言う連中だ。山が強いのは若者ではなく、体力経験のバランスが取れた三十代後半だ。
女性「テントの方ですか」
私「そうです。白砂山ですか」
女性「その通りです」
私「二人のパーティと単独の男性が入ってますよ」
女性「情報、有り難うございます」
 初日から白砂山の話が出ていたが、説明しよう。苗場山から稜線は南に走り、白砂山の東隣のピークで上越国境に繋がる。佐武流山迄は道が有るが、其の先は道が無い。従って春しか歩けないコースなのだ。
 ある程度の荷物を担いでいる諸君は、其のコースをやると見て間違い無い。我々が様なだらしない爺さんは除くのは勿論だ。荷物の多くは酒なんだから、エッヘン。
 そして其の三人は長い道のりを進んで行った。我々はポツンと見え始めたテントへ向かって下って行く。偉く違う。冒険パーティと飲んだくれパーティの差だろう。
 テント着が十二時四十分、七時間掛かった訳だ。まあ上等、ほぼ読み通りだった。早速雪を補充する。
 改めて乾杯、久方振りに春山らしい山だった。ヤバいトラバースや直登は春山の決りもの、Yも「いやー、怖かった」と喜んでいる。Yよ、君はマゾなのか?
 明日は帰るだけだ。飲もう、どんどん飲もう。そうしなければ荷物が軽くならない。一眠りして恒例の夜中の宴会。我乍ら贅沢な奴等だ。普通は春一泊でやる苗場山を、二泊でやる。しかも駅で一泊も加えてだ。続きます。

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