2016年12月22日木曜日

柄でも無い事 その五十七




 前に立ち寄った時に爺さんが「やがて女将が来ますから」と言うので、着物姿の女将を想像した。其の時は結局女将は間に合わなかったのだけどね。
 階段を降りて来た女将は足が不自由らしく、やっと降りて来た。爺さんも女将も足が不自由なのに、階段だらけの宿を営業している訳だ。さぞや大変だろう。そして、着物姿の女将なんかじゃ無く、田舎のおばさんそのものなのだ。
 小さな宿だ、考える迄も無くそうであろう筈だが、大和旅館だって女将は着物だったので、つい勝手に思い込んで居たって事です。
 相模弁なの。書き表すのは困難な微妙な言い方とイントネーション、昔聞き覚えがる、多分今は滅びた相模言葉。
女将「此れからパートさんが来るんですよ、夕方に山帰りの宴会が入ってるんで」
 支払いを済ませて駅に向かうと、三十代と見える山姿のカップルと擦れ違った。あっちに向かう限りは梵天荘に違い無い。ふーん、利用客が結構居るんだなぁ。
 駅に着くと人身事故で、途中の駅迄しか電車は行かないとの事。山帰りでは二度目だ。で、腕時計を見ようとすると無い。梵天荘に忘れて来ただね。
 帰宅してから電話すると、次のお客さんがフロントへ届けてくれた、との事。矢張りあのカップルが入浴したんだ。予想が当たって何だか嬉しい。親切に届けてくれて嬉しい。
 取りに行く迄預かってくれると言うので、又訪ねて行く事になった。平日だとどうしても里湯へ行って仕舞う。安いし、近いし、一杯飲めるし、スタンプは溜まるし。十個のスタンプで一回無料なのだ。
 又入浴して時計も戻って来たのだが、其の経緯は山が絡むので、閑話で書いてから続きと致します。

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