2016年12月16日金曜日

柄でも無い事 その五十六




 此れは休題だろうけど、前にも此処で温泉の話をしてるので、此処に書く。え、どうでもいいこったって? ご尤も!
 塔に二度目に単独で登った時、途中下車して梵天荘で一風呂浴びたと書いた。其の時の事を書いとかなくっちゃさあ。
 数段石の階段を登ったら玄関だ。年寄りは無理だ。車椅子でも無理だ。時代に逆行して居る宿だと言える。
 「済みませーん」と声を掛けると「は~い」と返事が有って、やがて脳梗塞を患った爺さんが階段を下りて来た。説明が必要だろう。狭いフロントには全て階段を下りるか登るしかしないと行き着けないのだ。時代遅れだ。
爺さん「初めてですか~あ」
 あんたが「又お越し下さ~い」って言うから来たのに、とは言わない。あたしゃあ数有る客の一人、それもたった一度訪れただけだ。
私「前に一度来てるから分りますよ」
爺さん「ご案内出来ませんので、ごゆっくり」
 庭(?)に出て、石の階段を十数段登る。年寄りでなくても、無理な人が居そうだ。モロに昭和の発想で有る。
 左に折れて突き当たりが風呂場だ。電気は自分で点ける。勿論帰る時には消す。風呂は一坪位かなあ。悠々として二人、一寸と詰めて三人が限度だろう。カランは三つ。三人を想定してるようだ。
狭い割には温泉をザーザー出して居る。お得な気分だ。滅多に来客も無いだろうから、独り占めなのが良い。滅多に来ないと言うのは、ハイキングコースからも駅からも一番離れて居るからと、小さな目立たない宿だから。
 湯上りでサッパリ、階段を下ってフロントで「済みませーん」と叫ぶと(叫ばないと届かない)爺さんで無く、女将(おかみ)が階段を降りて来た。続きます。

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