2015年7月1日水曜日

閑話 その百六十三




 女峰へ踏み出したは良いが道が悪くて難渋した様だ。大真名子、小真名子を越して行く。結構アップダウンが有る。岩稜まで有る。雨の中、物好きは仕方ない。
女峰に取り付く頃より雨上がるが、藪をこぐのでビショビショ。ひたすら濡れたのだろう。我乍ら一寸と可哀そう。
 女峰頂上は唯々霧のみ。何だよ、折角頑張って来たのに。チッチッチ、其れが山ってもんさ。
 寒さに追われて下る、と有る。女峰は日光連山と言っても2483m、天候が悪ければ当然寒い。下る先は唐沢小屋、此れも避難小屋だ。
 志津小屋もそうだが、避難小屋とは言っても、丹沢や上越の小さな小屋とは違う。南ア南部の営業小屋よりずーっと大きく立派なのだ。小屋番が居れば立派な山小屋だろう。尤も客が滅多に来ないだろうけどね。
 唐沢小屋へは大分下った覚えが有る。途中にプレートが有り「××君此処に倒れ、唐沢小屋に眠る」。うーん、今夜の小屋には××君も眠って居るんだ。
 小屋にザックを置き、水場へ下る。十分下ったと有る。じゃあ登りは十五分以上だ。今なら水汲みで一仕事。でも、四十五歳には何でもなかった様だ。凄いなあ。
 勿論小屋は、又もや独り占め。××君も一緒だったかも知れないが。此の日は人には会わない一日だった。朝から雨じゃ仕方ないね。
 これで二日雨に降られている。多分キスリングも中の物もびしょ濡れだった事だろう。シェラフだって、ビニール袋に入れてたって多少は濡れるし、大体入って寝る奴が濡れてるのだから、濡れる。
 羽毛のシェラフでなくて良かった。羽毛なら一発で保温力ゼロだっただろう。(続)

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