2015年7月8日水曜日

閑話 その百六十四




 状況から見て、寒い夜だった筈だが、何せ二十三年前の話だ、全く記憶にない。覚えているのは、急な下りを来ると平が有り、樹林の中に立派な小屋が有った、というだけだ。
 翌朝、初めての青空、やったぜ! いそいそと登り返したのだろう、きっと。相当登らされたのだろうが、其の記憶もない。
 女峰の頂上に再び立つと、綺麗だ、と書いて有る。男体山を登る時に一寸と景色が有った以来だ。
 頂上には初老の単独行者がビバークしていた。「雨がひどくて、ザックにまで水が溜まってさあ」との事、ひどい目に会ったんですなあ。人に会ったのは男体山の登り以来なので、流石に嬉しかった、と思われる。
 折角の晴れも此処まで、一気にガスったらしい。そして又もや藪に突入、当然びしょ濡れとなる。唯々濡れて霧降高原へ着いた様だ。
 ニッコウキスゲが咲き乱れていた記憶が有る。ガスってはいても観光客は多かった筈だ。記録には、体からはスエた匂いが漂う、と有る。無理からぬ話だ。
 そして、バス、東武線と乗り継いで帰京した訳で有る。
 三泊三日の山旅の殆どで濡れそぼる。何、良く有る事なのだ。余り嬉しくはないのだが、山はお天気商売、晴れる事も有れば降る事もあるのだ。
 日光連山の縦走が割とマイナーなので、書いて見たのです。外に日光には独立峰として太郎山、会津からの山稜としての日光白根山が有る。後は割と低い藪山だ。
 平成四年の夏山に、思いを馳せらせた次第です。

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