2013年11月23日土曜日

第三の男の話 その四




 えーと、実は一回だけ、担ぎ降ろして救急車騒ぎが有ったのだが、其れは内緒で有る。え、事故零じゃ無いだろうって?ああ、そうだよ、内緒の事故一だよ!
 どんな事故だって?山で深酒はするなって話、だから内緒だよ!!
 内緒の事故一で済んだのは(あのー、未だ終ってないんだけど)、ヤバい所には殆んど行か(け)なかった事が大きい。
 併し事故の多くは、そうヤバく無い所で起きて居る。思わぬ滑落、岩稜で多発する。確りした鎖が有るのに何故?と思わされる。鎖場じゃ無い岩稜は結構ヤバいので、無理も無い。どちらにせよ、岩稜では気を抜けない。
 最早盲点ですら無く、常識になったのは下り道。急な下りで足を滑らせ転ぶ。悪くするともんどりうって落下する。悪くすると大怪我をする。もっと悪くすると、亡くなる。
 私も下りでは何度も転がり、泣く思いをして居る。重荷の上にザザーっと落ちて、頭を下に身動き出来ない時なぞ、本当に泣きたくなる。先ずザックを外さなければ起きれない。大抵彼方此方打って居るので、痛みも来る。
 怖いのが気象遭難。此れだけ情報が入手し易くなっても、無くならない。人はどうしても、自分に有利な判断を下す。此の天気もやがて収まるだろう。或いは、小屋に着く迄天気はもつさ。でも、そうならない事も有るのだ。それでも大抵は何とかなって、後で笑い話になる。其れはラッキーだったのだ。
 一番多い事故は、体調不良では無いだろうか。それも、心不全とか脳梗塞とか、一発で命に関わるタイプ。中高年登山者の増加に伴って、山の死因のトップになったのが、以上の病だ。遭難とは言わずに死因と言う。前々章で書きました、ダブって御免!
 当然と言えば当然で有る。心臓には強い負担を強いる。発汗で血液はドロドロになって居る。発症する人が居ない筈は無い。嫌なら無理をせず、マメに水分補給の一手だろう。
 山は素晴らしいが、あくまで好きで登るの。事故を起こして家族を泣かしたり、地元の人に迷惑を掛けてはいけない。万全の準備、且つ体調も整え、「自然に対する畏れ」を胸ポケットに入れて、さて、山に向かいましょう!
 第三の男はどうなったのだって?此れで良いのだ!

3 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

そうですね。「家族を泣かしたり、地元に迷惑をかけたりしないように、万全の準備をし、体調を整え、自然を畏れる気持ちを胸ポケットに入れて、山に行こうー!」そうですね。まったくごもっともです!無事故100%の山屋さんの言葉です。

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

このとき担ぎ下ろした人がいまも生きているならいいじゃありませんか!

kenzaburou さんのコメント...

はい、生きてますので、いいのですね。