2013年11月17日日曜日

第三の男の話 その三




 此の時、既に女性のTnさんは体調不良だった様だ。後の話だが、彼女は膠原病だった。当時は未だ知る医師も、まず居ない時代、従って本人も、仲間も分かりゃあしない。
 翌日の泊まりが濃鳥小屋だったと言うだけで、如何に辛い道だったかが、伺い知れる。普通は、大門沢小屋迄は脚を延ばすだろう。
 さて、明けて運命の日が来た。Tn嬢はほぼ病人状態となったらしい。とは言っても濃鳥小屋に入院させる訳には行かないし、救急車も3000m迄は登って来てくれない。
 結局、奈良田温泉迄、皆でTn嬢を支え、少なくとも行程の半分は、Kaが担いで降ろしたのだ。自分一人が下るのでさえ嫌になるあの下りを、で有る。しかも当時は無闇と吊り橋が連続した。さぞや苦労した事だろう。Tn嬢も、さぞや苦しかった事だろう。
 併し、見事にKaの面目躍如の場面だ。もし彼が居なかったら、救援隊を要請するしか方法は無かった筈だ。
 Kの話では、温泉で乾杯したとなって居る。此の夜は緊急入院させる程の悪化は無かったと言う事だろう。Kaよ、美味いビールだっただろう、ご苦労さん!!
 翌日、甲府近くの大きな病院に入院、結局半月以上入院して居たのだから、結構ヤバい状態では有ったのだ。
 以上がKaの紹介だ。うーん、格好の良い登場では有る。今風に言えば、「クール」ってなとこかな。
 此の件が、零細山岳会の唯一の事故だと四十数年思って居たが、違った訳だ。唯、Tn嬢は、辛い思いをして気の毒だ。せめて、Kaが居て良かったと、思って下さい。
 何処かで前述だが、私は極めてラッキーにも、一度も山で事故を起こして居ない。リーダー(二人以上のパーティの場合)は軽く二百回以上は務めて居るが、事故零で有る。勿論、単独行でも事故零だ。
 (第三の男の話 その四へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

200回以上のリーダー歴で事故なし、単独行で事故なし、、、素晴らしい経歴ですね。どんなに自慢してもし足りない偉業です!! 写真も素晴らしい!!!うっとりします。

kenzaburou さんのコメント...

へへへヘ、その四でゲロッた通り、内緒の事故が一つなんで、いや、みっともない。