2021年6月9日水曜日

閑話 その三百五十八

 


 と堀山で幕営した話は前回書いた。その時下って行くと、車道から登山道へ入る地点に中年男性がスマホを見乍ら立っている。大倉へ五分位の場所だ。

 彼が「鍋割はこっちで良いんですか」と声をかけて来た。鍋割へはバス停から真っすぐ西に向かうのだ。「こっちは塔です。鍋割はバス停からの路です」と答えると彼は引き返して行った。

 話は彼でなくスマホの事。スマホに地図が入っていたのだろう。しょっちゅう山中で地図ならぬスマホを見ている登山者と出会う。世の中変わりましたなあ! 天候激変時にスマホで対処できるのだろうか。電池の制約もあるだろうに、と年寄りは案じてしまう。

 地図だけではないらしい。次女の使っているアプリは、自分の位置を把握してくれて、ポイントとなる場所の通過時間さえ記録してくれると言う。

 例えば、某月某日某時間にヤビツ峠出発、某時間三ノ塔到着、某時間出発、と記録されるのだ。パーティに記録係は不要となりました。一体何てこった。

 丹沢の遭難で一番多いのが”道迷い”、確か80%はそれだったと思う。だったらスマホで問題は殆ど解消ではないか。殆どと書いたのは、自分の位置が地図上で分かっても脱出できない場合もあるから。

 数年前に雨山峠へ行ったきり行方不明になって、九日後に這う様にしてユーシン小屋に辿り着き、偶然居 合わせた登山者に救われたと言う事件があった。三十代の男性だったから助かった。七十代だったら九日間は無理だろう。

 この件については、自分の位置が分かれば何とかなった筈だ。ユーシン迄着ける力があったんだから。もっと早く救助されていた可能性は大きい。

 これからはスマホと自分の位置確認アプリが必携品になるかもです。あたしはスマホなんて持ってないけどねw

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