2021年6月23日水曜日

休題 その三百六十七

 


 2019年三月上映だから、平成三十一年の作品「グリーンブック」をネットフリックスで観た。名前は知っていたが「最強の二人」もどきだろうと思って観もしなかったのだ。「最強の二人」は評判良いらしいが、あたしは大して面白くなかったので。

 ネットフリックスの新作で紹介していたので、主演がビゴ・モーテンセンならば観ようとなった訳だ。観終わって「こりゃあ名作だ、一寸とトロっこいけど、観る価値大有りだ」と妻に言った。こんど一緒に観る事にして潜ったら、その年(2019年)のアカデミー作品賞、脚本賞、助演男優賞を獲得していた。全く知らなかったです(恥)。

 主演者はロードオブザリングのアルゴルンだが、腹の出た中年男で、アルゴルンとは真逆な役だ。彼が黒人のピアニスト、ドクター・シャーリーの運転手に雇われ、人種差別の激しい時代に、差別の本拠地アメリカ南部へ演奏旅行へ行く話だ。

 ピアニストがドクターと名乗るのは、複数の博士号を持っているから。実話をベースにしている。

 差別問題はこの映画の環境である。真向糾弾するものではない。あったものとして描いている。この姿勢が良い。あったものもなかったかに描く作品は腐臭を放つ。

 人種差別に対する静かな怒りは喚起させられるが、描くのはそれではない。全く異なる二人の人間が、理解し合い許容し心が結ばれて行く過程が丁寧に(あたしに言わせれば一寸とトロっこくw)描かれている。そして非常に分かり易い。

 分かり易く且つ上質とは王道であろう。アカデミー三部門受賞は当然だ。主演男優賞をも受賞しても良かったと思える程だ。

 ネタばれには気を付けたので大丈夫だろう。もし観てない人がいたら絶対にお勧めします。十点満点で八点半は固い。

 ドク・シャーリー役のマハーシャラ・アリは二度目の助演男優賞だそうだ。実に渋くて好い演技ですよ。

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