2021年3月6日土曜日

閑話 その三百五十三

 


 写真は内容と無関係な大倉の菜の花です。

 高取山だが、それはどうでも良い。四日に登って降りて来て里湯に着いた。十一時五十二分にあたしはチケットを買った。ほぼ同時に大きいザックの、学生と思われる二人がチケットを買った。明らかに幕営装備である。

 「何処で幕営したの?」と小柄な学生に聞いた。「避難小屋と山小屋です」と彼は答えた。チケットを受け取っている痩せて背の高い学生に「何処から入山したの?」と聞いた。もう野次馬根性丸出しのあたしである。

 「駿河小山からです」「ふんふん」「三国山に登って菰吊山の避難小屋で泊まりました」「ふんふん」。合いの手の「ふんふん」は抜かそう、うっとうしいでしょうから。「次の日は檜洞丸の小屋泊まりです。そして昨夜は三ノ塔の小屋泊まりです」「ああ、休憩所だね」「今日は三ノ塔から降りて来ました」「大縦走じゃないの!」

 初日の地図上歩行時間は十一時間になる。二日目は十時間十分だ。三日目は七時間二十五分、一寸とは楽だっただろう。そして三ノ塔から下ったとは言うが、ほぼ昼である。真っ直ぐ下ればとっくに里湯だ。こりゃあ大山も登ったな、時間的にそれで丁度になる。それは風呂に入ってから思った事で、確認しなかったのは一寸と残念。風呂場に彼等はいたが、わざわざ聞きには行かなかった。多分その推測は当たっているだろう。

 いやあ速い。あたしも四十代前半迄は地図上十二時間でも、アルプスを幕営具を担いで歩いた。それも人を抜き乍らだ。夢んごたある話ですよ、今となっては。一日六時間だって、大荷物なら危ないもんだ。若いってえのは凄いもんなんですなあ。

 風呂場を歩く彼等は、多少足を引き摺っている感じだった。当然そうなりますって。足を酷使したんだもんね。

 入山四日目の温泉。今日の里湯は君達二人の為にある、ゆっくりと筋肉を休ませ給え!

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