2020年7月3日金曜日

閑話 その三百二十



 川(沢?)近くにテントを張る。さっき見た十人は未だ来ない。あの中位の滝で手間取ってるのだろう。我々は早速乾杯!である。片や大滝を目指し、片やさっさと飲み始める。何とも仕方ない奴等ですなあ。
 今回は焼酎が集まってしまった。普段は巧く分かれるのだが、こういう時もある。焼酎を飲んで簡単な夕食の準備をしていると人声がする。覗くとザイルを肩に二人の青年が登山道を下って行く。川音と我々の話声で外の八人の通過は気付かなかったのだろう。
 何せ若者達だ、十七時過ぎに滝を登って避難小屋に着いても泊まったりしない。一気に駆け下りて車に戻り帰京、翌日は出勤だ。それが当たり前で、すっかり老いて感覚が鈍っちまった我々は読み違えた訳だ。
 因みに避難小屋で険しい滝は終わる。小屋の横に支流の鬼石沢が流れている。そこは初級の上、或いは中級の下で、二十年程前にYと詰め上げた。もうやれっこないですなあ。やや大きな滝を巻いて河原に戻る時に残置ハーケンがあって、そこが下降地点に間違いないと思った覚えがある。その時はサブザイルで沢へ下ったっけね。
 夕飯が済むと寝る。十八時半、いつもより遅めである。Yは直ぐに寝付く。これは何時も通りだ。あたしは寝付けないでゴロゴロする。これも何時も通りだ。そのうち一寸とウトウトすると灯りに気付いた。Yがローソクを点けて一服している。
 あたしも起きて恒例の夜の宴会になった。缶チューハイで改めて乾杯、普段なら日本酒やバーボンなのだが、この日は二種類の芋焼酎のみ。両方とも上品なのだ。もっと下品なイモーーッてえのがあたしの好みなのだが、世の中は違うらしい。どんどん上品な味になってしまう。Yはそれでも良さそうなんだから良しとしよう。
 散々飲んで夜はふけて行くのです。(続)

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