2019年10月6日日曜日

山の報告です その九十六



  頂上には四人いた。360度の展望であった。「凄い、凄い」と言い合う。一番目を 引くのは甲斐駒だが、特異な山容に加えて丁度日が当たって目立つのだろう。甲斐駒の 左には鋸岳、右にはアサヨ峰から鳳凰三山へと続く。北岳は逆光になって、今一つ冴え ない。その左には富士も見える。うーん、一位二位の揃い踏みである。北岳の右には間 ノ岳、その右肩に僅かに農鳥が覗いている。三峰岳(みぶだけ)は間ノ岳の付属のピー クにしか見えない。主稜線なのにねえ。その奥に塩見岳が見えるが、荒川岳の稜線に紛 れてうっかりすると見落としそうだ。その奥に赤石岳、その奥に聖岳と、豪華絢爛金襴 緞子ですなあ。甲斐駒にしようか仙丈にしようか迷ったけど、南部が見渡せるので仙丈 にしたのだ。


  西を見ると例に依って伊那には雲海、その向こうに中央アルプスが連なる。奥念丈か ら将棋頭迄、ぜーんぶ見えるのです。上の写真がそれです。
 その右に御嶽、乗鞍と続き、穂高から始まる北アルプスの連なりが控えている。槍がポ ツンと目を引く。どうです、口々に「凄い!」と言う筈でしょうが。
  あたしはノンビリしているが、外の人達はバスの時間を気にして下山に掛かる。入れ 違いに若者が登って来て、360度の動画を撮っている。カメラなんざ振り回さない時 代になったのですかあ。


  北側に目を引く大仙丈岳がある。上の写真です。そこから主稜線は高度を落として樹 林帯に突入し、野呂越を越えると三峰岳へ一気に高度を上げる。そして塩見岳へと続い て行くのだ。この稜線こそ主稜線なのだが、歩く人は少ない。樹林の稜線だからだろ  う。
  関西弁の女性も登って来た。あれが木曽駒、あれが宝剣岳、と教えると「知り合いの 知り合いが冬の宝剣で滑落しなはって」「どうしました?」と馬鹿な事を尋ねた。「即 死です」。冬でも夏でも宝剣で滑落は即死に決まってる。(続)



0 件のコメント: