2019年10月15日火曜日

山の報告です その九十八



 小仙丈を下ると暫くで樹林に入ってしまう。其処で絶景とはお別れだ。暫し景色を楽しむ。十二時近くなったので、ガスも湧き出した。山は午前中が勝負なのだ。
 写真は北アルプスです。
それでは、と下って行く。登った分は下らないとテント場には着かない。当然の道理である。
 下りで長老と擦れ違った。“長老です”と書いてあるのではないけど、一目で長老だなと感じさせる。痩せて長身で白い顎鬚を蓄えてバンダナを頭に巻いている。七十代後半と見た。後ろには如何にもお付らしい屈強な五十歳位の男性がいる。ね、長老でしょう。
長老「随分身軽ですが、大丈夫ですか」
私「大丈夫です」
 あたしの短パンにカッターシャツの腕まくり、アタックザックのみの軽装が、年甲斐もない奴と見えたのだろう。まあ、此の好天なので大丈夫なんですよ。ガスって風が有るだけで、夏でも、アノラックを着込んでいたって寒さに震えるのは、散々経験済ですので。まあ、運が良かったって事なんでけどね。
 テント場に帰って来た。先ず小屋でビールを買う。自販機で買うんですぞ! ベンチに座ってゆっくりとビールを飲む。何せテントは目の前なんだから悠然たるものである。
 ゆっくりビールを飲んで目の前のテントに帰ると、未だ二時過ぎ。相当のんびりしたのだが、出発が早かったので帰りも早い。未だバスは有るのだが、あたしゃあ急いでテントを畳んでバタバタして、夜遅く帰宅するなんて、真っ平御免だぜ。
 コーヒーを飲んだり焼酎を飲んだりしていると、次々とパーティが到着して幕営を始める。皆若者の声だ。4~5パーティが新たにテント場に着いた様だ。年配者はきっと(いやほぼ絶対)小屋に泊まるのだろう。食事も付くし、暖かい布団もあるし、ストーブも有るし。(続)

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