2019年10月22日火曜日

休題 その二百六十三



 台風19号は予報通りの甚大な被害をもたらした。十九日現在で、堤防決壊が七十一河川で百二十八カ所、越水が二百六十五河川、その結果四万六千棟が浸水被害を受けた。死者七十九名、行方不明者十一名、甚大災害と言うべきだろう。
 身近な処では多摩川が越水して二子玉川が浸水した。荒川も越水寸前迄行って、冷や冷やした。幸いだったのは利根川に殆ど危険が無かった事だろう。
 これは旧民主党の怪我の功名で、一旦建設を取りやめた八ッ場(やんば)ダムを、世論に逆らえず政権末期に建設再開し、丁度出来上がって19号の雨を一手に引き受ける事になったからだ。
 民主党は「コンクリートから人へ」とのスローガンを掲げて、治水事業もバッサリと減らしてくれた。それが今回の被災にどれ程影響したかは不明だが、減額されなければ間に合っていた所も有ったかも知れない。
 民主党が治水を二の次にした事は責めない。それに対する反省が無く、逆切れして見せる態度は酷いの一言だが、元々そういう連中の集まった党だからね。
 何故責めないか。当時の日本には治水を二の次にする、詰まり「コンクリートから人へ」と言う空気が有ったからだ。民主党はそれに乗っただけ、と考えるからだ。
 山本七平氏の“空気の研究”を持ち出す迄もなく、空気に支配されるのが日本人だ。だから「脱ダム宣言」の田中康夫氏が知事に当選したのも、同じ空気の下でだ。
 その空気は誰が造ったのだろう。マスコミ以外には無理だ。一昔前はマスコミが空気を造って国民を誘導できた、って事だね。マスコミこそが最高権力ってかい?
 まあ、そうですな。処がネットの普及に依りマスコミの影響力が落ちて来た。マスコミを信じるのは主に年寄り、もう十年もすれば、日本も相当まともな国になるでしょう。

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