2019年7月24日水曜日

閑話 その二百九十二



 前章で自慢(?)したスタイルで塔へ行った。Tシャツ(それもダラーっとした奴)に短パン、そして地下足袋に帽子。妻は例に依って「なにー、その変な格好!」と叫ぶ。子供の恰好をした爺さんみたいだと言う。子供は地下足袋なんか履かんわい!
 スタイルなんざ山に入ればこっちのもんで、見事に溶け込むんじゃい、と言い返しても妻はフフンてなもんである。分からん奴は分からなんでも良いのじゃい。
 前回の雲海の時は未だ涼しくて蒸さなかった。今回は地上で30℃に上がり、とても蒸す日だ。朝からジメジメしていた。
 一番バスは超は着かないものの満員、流石土曜日だ。梅雨の合間の十五時からは雨だってえのに、何時もより平均年齢を十五から二十下げた諸君が大倉へ向かう。
 蒸すと汗がひどい。観音茶屋を越える頃には汗がポタポタ垂れている。これは先が思いやられる状況である。まあ、前後している皆さんも同じなんだけどね。
 一寸と後ろをあたしと同ペースで来る男性二人がいた。三十代後半だろうか、話の内容からすると会社の同僚らしい。見晴らし茶屋を越えて十分位の処で「もう半分位来たかな」と言うのが聞こえた。おいおい、未だ三分の一も来てないぞ、此処迄は里道みたいなもんで、小草平からが本番だよ。
 そして暫くで一本松に着く。其処には距離が記入された道標がある。「えー、あと4kmだって!」そうなんですよ。それでも駒止迄後ろからついて来たのは偉い。駒止の小屋の横のベンチに入って行って、もう会えなくなってしまった。
 最初の休憩は小草平の堀山の家前と決まっているので、ひたすら歩くのみ。時々右足の甲がつる。変な所がつりますなあ。蒸す時は彼方此方つる事がある。小草平には何人も休んでいて、発つ人着く人で賑わう。(続)

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