2016年8月25日木曜日

閑話 その二百




 さて、お盆に大室山を目指した。勿論Yと一緒で有る。曇り空で、思いの外涼しい。神ノ川ヒュッテに車を置いて、三百円の駐車料を払った。安いなあ、普通は五百円なんだ。
 長い長い植林帯の登りが始まる。涼しいとは言っても蒸すので、汗がポタポタ垂れる。Yに至ってはびっしょりになって居る。
 フッフッフ、去年の失敗を避ける為に新兵器を用意したのだ。梅酢を水で割ってペットに入れて来た。綺麗な赤色の液体で有る。これをチビチビとYに飲ませる。とても美味しいのですぞ、汗ビショになって山を登って居るとだけどね。
 う、う、残念な事に梅酢でさえYの大汗には適わなかった。前回と同じく、稜線に出た所でYはつった。最初は左足、次に右足、そして見事に両足、オーマイガッ! 適当な所に張るの一手になっちまった。
 目の前の斜面を登り切れば平坦地が有るのだろうが、もう無理はさせられない。えーい、ビバークだと思えば良い、と草地の斜面に張った。Yが上半身をテントに入れてマットを敷いているうちに動きが取れなくなって、手を引いて引っ張り出した。
 自分で荷物を入れる時に驚いた。テントの中に滑り落ちそうなのだ。思いの外の傾斜だった訳だ。見た目以上なのだ。
 中に納まったのは良いが、置いた物が何でも滑り落ちる。ま、そんなこたあ承知の上なんだから文句は言えないってこってす。
 日暮れてから雨。それも相当強く降った。行動中でなくて良かった。恒例の夜中の宴会も、盛大な雨音の中だ。それはそれで結構なもので、酒の味付けになる。結構風流な暮らしなのだ。
 お蔭で寒い位なのだが、Yは折角の新品羽毛シェラフに下半身を入れただけで寝てる。彼には丁度良い気候と言う事だろう。
 続きます。

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