2016年4月8日金曜日

休題 その百六十六




 春なのに お別れですか

 朋友については何度か書いた。An夫婦、Kj、Yn、Em、それにあたしで六人。長い長い付き合いだ。友の様なものではなく、友で有る。
 ヤクザにしか見えないYnは昔から沖縄が好きで通い詰めて居た。潜りに行くのだ。インストラクターの資格が有った筈だ。
 第二の人生として沖縄の竹富島で暮すと決めた。ボートも有る、家を借りる算段も付いた。東京の家屋も処分し、六月には移住する。
 あちらでは案内人兼インストラクターで趣味を仕事にする訳だ。とても結構な話なのだが、もう一緒に旅行にも行けなくなる。こっちから訪ねては行くだろうが、しょっちゅう行ける場所では無い。
 Emは、もし失敗しても帰って来れる様に家だけでも取って置いたら、と言うのだが、Ynは勿論失敗なぞ考えても居ない。
 やるとなるとバリバリやる男なので失敗は無いだろう。でも万が一とは誰にでも有り得る事だ。Emの心配も無理からない。
 今年の四月の旅行が朋友達揃ってでは最後の旅行となる訳だ。何回行っただろう?一寸と考えた位では分からない。惚けが入った所為も有るのだけどね。
 年中行事は、新年会、旅行、暑気払い。毎年毎年良くぞ続いたものだ。悪口叩いてはゲラゲラ笑い転げる、そんな馬鹿をやるのは決まってYnとあたしだ。
 真面目な朋友達の中で、貴重な馬鹿をやる男が遠くへ行ってしまうのだ。残されたあたしは一人で馬鹿をやるしかない。丸で馬鹿で有る。
 本人が選んだ人生だ、文句を付ける訳にもいかない。上手く地元に溶け込んでやってくれ、と思うばかりだ。尤も地元にはコネクションが出来上がって居る様で、さもなければ移住には踏み切れないだろう。
 其処へ降って湧いた様にKjが転勤する事になった。其れも宮崎で有る。一同唖然とするばかりだった。(続)

0 件のコメント: