2015年12月8日火曜日

達人は行く その四




 彼が某山岳会に居た(今も居る)事は書いた。NよっかNの奥さんの方が凄いとも書いた。記述はダブるけど良いのさ。私の愚ログだから、私の思うが侭って事さ、はっはっは。
 某山岳会は甲斐駒ヶ岳に拘って居た様だ。あらゆる尾根、沢、岩稜を攻め続けた(と聞いて居る)。必然的に遭難も有る。うんと有る。だから有名になった。
 甲斐駒は、岩稜を目指して一日で終わる様な、ヤワな山では無い。それも厳冬期にやるのだ。馬鹿じゃないのか、としか(馬鹿な私でさえ)思えない。
日が暮れたらもう登れない。小さなテラスにやっと腰掛けて、ハーケンを打って体をザイルで確保する。寝て居る間に落ちたら、遺体の確認も難しい程になるのだ。おーこわっ!
 半シェラフ(胸迄のシェラフ)で極寒の夜を過ごすのだ。軽くマイナス20℃を越す上に、風当たりは抜群だろうから、体感温度は更に下がる。おーさむっ!!
 そんなの、冬山をやるクライマーなら当たり前だって? その通り。では達人らしい処を書きましょう。
 手付きの小さな鍋がNの食器なのだ。取っ手は木の棒で、捻じ込み式なので取り外せる。勿論、鍋にもなる。コーヒーを入れる時でも、其の鍋を付き出す。相手が大きいので、つい大目に入れる事になる。私は其の食器を“ペス“と呼んで居た。犬のペスの食器、と言う意味で有る。
 (達人は行く その五へ続く)

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