2015年5月24日日曜日

閑話 その百五十八




 翌朝も快晴。茶臼岳までに前後した単独行者とはこの先ずーっと一緒だったと有る。覚えてない……。茶臼からは一望の展望(変な言葉)だった。
 聖平に幕営。一面のテントで小屋は満員、ビールも売り切れだった。さぞやがっかりした事だろう。救いは空一杯の星。
 翌日も快晴。ラッキーだ。聖を越え小兎を越え、大沢岳はカットして百間洞に下って幕営。ビールが売り切れるのを恐れたのだ。小屋番は不在。居合わせた宿泊者に代金を預け、ビールをテントに持ち帰る。
 この判断が良かった。すぐにビールは完売、テントの諸君は皆ビールにありつけなかった。あたしは聖岳を見ながら美味しいビールだ。何だか、ビールが目的の縦走の様相を呈して来た感が有りますなあ。
 翌日も快晴。どのテント場も一杯だと言うのに、稜線には殆ど人の姿が無い、と驚いている。南アは大きいのだ。頂上には人がいるんだけどね。
 赤石岳は賑わっていた。大パーティが雪渓の雪で氷あずきを造っていた。「売るか」と冗談を言ってが、買いたいと思った、と有る。
 赤石岳で縦走終了、下りに掛かる。うんざりする程長い下り。此の時に擦れ違ったカップルに声を掛けられた。前年此の尾根を一緒に下った人達だった。世の中は広い様で狭い。
 椹島では風呂に入り、ビールを飲む。もう登りも下りもないのだ。翌朝、マイクロバスに乗り込めばいいだけ。幸せだなあ。
 茶臼岳から赤石岳を、テントを担いで四泊四日でやった訳だ。今なら倍は掛かるんでないかい。四十歳は凄い。と言うより、今は情けないってこってす。(続)

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