2017年1月13日金曜日

閑話 その二百十三




 昨年の師走にS、Kと“山下り”に行った。あのタフだった二人も、Sは脳梗塞と心臓を患い、Kは若い頃の滑落の後遺症が固まって足首が思うに任せない。前にも書いたがやガタガタパーティに成り果てたのだ。
 何時も頭を悩ませるのは、コースを造るあたしだ。Sは登りが続くと心臓パクパク、Kは下りに弱い。これじゃあ山は無理だよー。
 最近はKも思う様には登れなくなって来たので、下りを中心にせざるを得なくなった。だもんで“山下り”の企画となる訳なの。
 考えたのは大山ケーブルで下社へ、巻き道で蓑毛越、稜線を暫く下って高取の登りの前で蓑毛下へ下る、と言うルート。
 伊勢原で待ち合わせ、大山行きのバスに乗る。半端な時期なので登山者は十人位だ。左右の店の中を行く階段が其の日一番の登りだ。一番電車の前にケーブルカーが動いた。
「あれは上の駅に駅員を運ぶんだろう」なぞと予想する。多分当たりだろう。荷物を背負ったり持ったりする人達も数人乗り込む。
 我々は最後尾の後ろ向きの席に座る。後ろに三人連れの女性登山者が座る。ケーブルカーが動き出すと「え、後ろ向きなの!」と騒いで居る。そうなんですよ(笑)。
 視界が見る見る開けて行く。大山ケーブルに乗ったのは人生で二度目だが、中々良いものだ。何時もだったら男坂を、汗を垂らして登るのだが、此れからはケーブルだなあ。
 大島が大きく正面で、海は輝いている。とてもグッドな眺めで有る。教訓。「ケーブルカー或いはロープウエイは後ろ向きが良い」。
 下社で降りて地図を広げたら、背負子を背負ったおばさんがあたしに声を掛けた。
おばさん「何処へ行くの」
私「蓑毛超なんだけど」
おばさん「其処から大山?」
私「いや、蓑毛下へ下るので」
 おばさんは呆れ返った。続きます。

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