2020年8月25日火曜日

閑話 その三百二十四

 

 前章の閑話で塔に登った話をした。足がつって五時間二十二分掛かってしまったのだ。一週間は疲労が抜けないバテ方をした。忸怩たる思いだったが、約二週間後にリベンジとばかりに、塔を目指したですよ。

 同じく一番のバスだが、35℃越えの日が続いていた所為が、客は十人程しかいない。若者化中年の諸君で、一人だけ単独の山ガールが、あたしと同じか一寸と上ってとこだろう。ま、山婆さんですなw

 歩き始めて一時間もすると気付いた。前回より速く、なんて考えるだけ無駄だ。又つってメロメロになるだけだ。兎に角塔に立つ事だけを考えよう。バテそうな時はどうしてる? そう、ゆっくりと行くのだ。

 発想の転換です。夏はこうでなきゃダメになったってこってす。多分体温調整の機能にガタが来てしまったのだろう。偉く汗をかく。丸でYのようになったのだ。

 バスを降りてトップで歩き始めたので、抜かれるばかりだ。三十代の女性と中年男性は、途中で休んでいる所を抜き返したが、後は抜き返すなんざ有り得ない。

 今回は小梅干しを五つ持った。水も1L用意し、蒸しパンとカロリーゼリーも持って、あたしとしては万全な構えである。太腿がつるとどう仕様もないので。

 さて、ハイライトの花立大階段、ここで三十代前半の女性三人パーティを抜いた。あたしより前を行くって事は、バス以外の方法、車かタクシーで来たのだろう。

 大階段に取り付いた限りは、唯々登り切るのみ。ゆっくりで良いから何も思わず前を見ず、一歩一歩を進めるのだ。

 登り切って蒸しパンを食べていると、その三人が次々登って来る。ヒーヒー言って来るが、先着の女性がカメラを向けると、ピースの指でにっこり笑う。流石に女性は凄い。あたしなんざ死にそうな顔で写る事だろう。(続)

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