前章で次女が表銀座を歩いた話をした。燕(つばくろ)岳から大天井、西岳を通過して槍ヶ岳へ至るルート(或いはその逆)を指す。名前で分かる通りの、大人気コースである。上の写真は借り物です。
あたしは一回しか歩いていない。四十歳位だったかな。務めていたのでゴールデンウイーク。結構雪の多い年だった上に、あたしとしては珍しく三日間全部晴、嘘の様に美しい雪の表銀座であった。
半世紀近く前の事なので記憶も曖昧になっちまった。燕の登山口が雪で不明、踏み跡を追って沢から這い上がった記憶がある。初日は西岳迄入った。当時積雪期にテントを張れる場所は西岳しかなかった筈だ。燕小屋には張れるが、槍迄地図上で九時間二十分、夏道は通れないので岩稜を行く為軽く十二時間以上は掛かるので、西岳へ着くしかない。小屋は埋まって幕場は狭まり四張りがやっと。あたしは四張り目だった。他に来たパーティはなかったので、単独のあたしと他三パーティが槍を目指した訳だ。
翌朝あたあしはラストに出発したと思う。単独行者は気楽です。前者のトレースを追って行くが、岩が続くのでトレースもしょっちゅう消える。天気が良いので行先に悩む事はない。あたしが通れたんだから、それ程厳しい岩稜ではなかったのだろう。一寸と冷や冷やはしたが。
槍に向かってひたすら歩いた。いや、岩を登ってた方が多かったかな。たまの下りも稜線が見通せるのだから全く問題ない。結局槍迄誰にも追い付けなかったから、常にあたし一人。三パーティの諸君は強者揃いだったですなあ。ん、あたしがだらしなかったのかな? 雪の表銀座を貸し切りでした。段々槍が近づき、左下の槍沢は大勢の登山者が登っているのが見える。
積雪期の表銀座は人がいない。今はどうだか分からない、何せ大昔の事なもんでね。それでも槍には人が一杯でした。穂先に立つと、日本一高い所にいる様な気がしましたなあ。
つい大昔の表銀座を思い出しました。スツレイ致しましたです。


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