写真は一ノ倉岳へ向かう途中で顧みた谷川岳です。
さて、そのうちに夏道を下る様になった。Yは膝のバネが機能を喪失し、ゾンビが下っているかの様子である。そのうちに雪の斜面に来た。
私「Y、滑って降りろ」
Y「う、う」
Yは尻で滑り降りた。これはYも気に入ったらしい。何せ歩かずに高度を下げられるのだから、こんな良い話はない訳だ。
最後の滑りを終えて広い雪野原に出た。看板があったので見ると駐車場だった。土樽駅への地図もあった。平地の一歩きだ、やったね、と思ったのが大間違い。Yの消耗は予想以上で、首はがっくと落ち、地面を向いてノロノロ歩を進めるのがやっとになったのだ。
オコジョが急に出て来て、5m程前の雪の上で止まりこっちを見ている。もう茶色に毛
色は変わっている。「オコジョだ!」とYを振り返る10m以上遅れてトボトボと来る。オコジョなんかどうでも良いに決まってる。
やっと駅に着いた。勿の論、無人駅である。十二時半だった。次の列車は一時間半待たねばならない。タクシーを呼ぼうとすると。
Y「待てば良い、一時間半位」
私「え?」
Y「ぼんやり待ちたい。もう何もしたくない、蕎麦も温泉もいらない」
うーん、完璧に参ったと言う事ですなあ。でもタクシーを呼んで湯沢に出て、山菜蕎麦を食べた。タクシーに乗ってるうちに元気が出て来たそうだ。蕎麦を食べたらもっと元気が出て来た様で、温泉にはいろうと言い出した。残念乍らあたしは二晩の寒さで風邪気味になって、無闇とクシャミと鼻水が出る。湯ざめを嫌って温泉はなしにした。
ハイボールを持って新幹線に乗り込んだのだが、春山の縦走はこれで最後にする、と宣言した。体力的にも限界だろう。今迄の様にベースを張ってアタック、それが一番ってこってす。しかし無事で良かったですよ。
