2024年10月10日木曜日

休題 その五百四十七


  塩野七生氏著「ローマ人の物語」文庫本四十三冊のうちやっと二十七冊目に入った。随分とゆっくり読んでいる。昔なら数日で読み終えていただろう。

 世界史で、古代ローマ帝国のみ特別視されるのはおかしいと言う意見を随分読んだ。あたしも尤もだと思っていた。しかし「ローマ人の物語」を読むと、特別視されて当然だと思わされる。王政から始まり共和制に移行し、帝政となる。帝政と言っても他国(シナやペルシャ)のそれとは大違いなのだ。絶対権力は持たない。強いて言えば公僕の長って位置づけだろう。それだけでも、古代では異質な文明だと理解できる。

 限定的だが選挙がある。それで元老院議員や執政官、経理監査や諸々の役職のトップが選ばれる。限定的だが人権がある。社会保障制度もあった。限定的とは対象がローマ市民である事、それも選挙は男性のみ。フェミニストは怒るだろうが、何せ古代の事なんでね。

 インフラの必要性を完全に理解していた。街道建設及び整備、上下水道建設及び整備、公共施設建設及び整備。どれも偉く予算が必要な事業だが、やり遂げた。

 ローマが勝った相手の自治を認め、街道を造ってローマ化を進めた。結果、欧州の西側とイングランド、黒海南岸、バルカンからアナトリア、パレスチナ、アフリカ北部がローマ領となった。今更あたしが説明する必要もないですね。

 当時文明があったのは、中東からシナ迄に三つの帝国があったが、絶対帝政、人民は被征服民に近い扱いを受けていた。

 シナは万里の長城を築いて蛮族の侵略を防ごうとした。ローマは街道整備で軍団の移動をやり易くした。典型的な内線防御である。機動戦とも言えるだろう。

 現代の政治の元となる思想が感じられる。ローマ皇帝の最大の義務は、防衛と食料確保だ。そして防衛(平和)なくして食料供給もないと知っていた。現代人より賢くないだろうか。

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