四十代迄と古希過ぎとは、登山者としての世界が変わる。全く変わる。筋力もバランスも体の柔らかさも、全て衰えているのだから至極当然だろう。
高校生の時新雪の表尾根を下ったが、急な所は尻で滑って降りた。二十代でも、檜洞丸から犬越路への尾根で、矢張り急な所は滑り下った。アイゼンもなかったので歩いて下れなかったからだが、今そんな事をやったらどうなっちゃうんだ?骨折かもねw
初めての春山で北穂に登った時は、少し下って多少傾斜が緩む(と言ってもご存じの通り急なんです)と、尻セードであっという間に下った。我乍らピッケルを巧く扱い、バランスをちゃんと取れた。十数年前に北穂を下る時に尻セードを試みたが、バランスが全然取れないので、即止めて歩いて下った。情けないですなあ、尻セードもできないなんて。それでも五十代は何とかできたかな。菰吊山から下る時は急な所は尻セードで下った。滑って尻もちをついて、その侭滑り下ったんだけどね。でも、制御はできていたのだ。今だったら制御不能で横倒し、ってかな。
昔は雪の下りも楽しかった。滑ったらその侭滑れば良い、速く下れて結構なこった。ああそれなのにそれなのに、今は慎重に下るの一手、バランス感覚なんざどっかに置き忘れてしまったのでしょう。
依ってアイゼンなしで雪道や凍った道(或いは斜面)は下れなくなった。若い頃は、おっとっとと下ったんだけどねえ。植林帯の凍った下りは、次に抱き着く木に向かって半滑りで下った。そして次に抱き着く木へ向かう。今なら途中で滑って、どっかへ行ってしまうのが落ちだろう。
雪の登りは気付かないうちに筋力を駆使しているのだ。六十代迄は大丈夫だった。今では、おんぼろろーろーろ♪ 若いって、素晴らしかったんですなあ。愚痴になっちまって、済みません。




