次女が薬師に行く予定を表銀座に変えた。薬師方面の天候が悪いのと、熊の為だ。二十六日早朝から登った。シーズンには中房温泉へのバスが復活していた。登山ブームのお陰である。一寸と前迄はTAXIしかなかった。
妻に来たラインでしか状況は分からないが、入山日はガスだった様だ。燕岳を越えて大天井岳は微妙な牧道で越え、大天莊で幕営。景色なしの入山日だった。
翌二十七日、雨だったと言う。”大雨”だと書いて来たが、まあ、雨だったのだろう、行動できたんだから。あたし等が”大雨”と言う時は物凄い吹き降りで、3000m近い稜線を歩くなんて飛んでもない覚悟がいるの場合を指す。行動は可能だけどお薦めできない。
東鎌尾根を槍を目指して歩く、表銀座の醍醐味だが、雨じゃ唯々歩くだけ、鎖で下ったり梯子を登ったり、あとどれだけ歩くのかなあの世界だ。次女にしては珍しい。初めての経験かも知れない。地上では暑くて呻いているのに、稜線では寒くて堪らんのですぞ。救いは槍ヶ岳山荘迄地図上で七時間十分である事。これが十時間だったら本当に参る。それでも相当に痛めつけられただろう。テントを止(や)めて小屋に泊まったと書いてある。もう雨の中でテントなんて嫌だあ!
気持ちはよーっく分かるが、それが登山ってもんだ。上越の春山なら風雨でも雪を踏んでテントを張るだよ。大体からして小屋なんてない!
幕営予定なのに小屋で泊まれたのは空いていたからだろう。雨の中、予定通りに登って来る人は少なかったと言う訳だ。
幸い翌二十八日は晴れた。槍の穂先に立ったのは次女がトップだったそうで、目出度い。槍で晴れれば文句なしであろう。逆だと悲しいもんですぞ。張れ女の面目を見せてくれた。
山は晴れたり降ったりガスったり、それが当然なので雨の縦走も必要な経験なのだ。決して嬉しくはないのだけどね。無事で何よりでした。





