2025年3月12日水曜日

閑話 その四百八十二


  三月も半ばだが山は未だ冬山だ。なのに六月の遭難を取り上げるのは気が引けるが、あたしには馴染み深い南アルプスの茶臼岳下山中の事故なので、許してちょーよ。

 奥さんが登山ユーチューバー、旦那と二人で荒沢岳を目指し、悪天候で引き返し、その数日後に光岳(てかりだけ)を目指したのだ。あたしは光岳には行っていない。もう行く事もないだろうが、南アルプス好きには憧れの、日本最南端の這松の生える山だ。

 夫婦は畑薙ダムに車を置いて、一気に茶臼小屋迄登った。1800mの上りを八時間でやったのだから、大したものだ。だが、夫は荒沢岳の疲れが残っていた。この日はテント泊。翌日は光岳ピストン、十四時間掛かったがやり通した。あたしなら絶対光岳で泊まる。そんな物凄い勢いで歩いてどうするね。

 テントでもう一泊し、後は下山のみ。夫はローカット登山靴だった。今流行りだが、捻挫はし易くなる。横窪沢小屋を過ぎ、暫く下った普通の登山道で夫が転倒した。矢張り疲労が溜まっていたのだろう。転倒は良いが、立てない。妻は看護師だった。見ると足首を骨折している。応急処置と固定をし、妻は救助要請に一人で下る、テントも食料も水も夫の元に残して。

 半分走る様に下って救助要請、さぞや焦った事だろう。夫はその日のうちに下のウソッコ沢小屋へ運ばれ、翌日病院へ搬送され治療を受けた。

 その一部始終を妻はユーチューブにアップした。賛同の声と共に非難する書き込みも多かった。何を非難するのだろう?遭難した事をか?救助隊を煩わした事か?税金でヘリを飛ばした事か?自分は絶対遭難しないのか?

 誰でも遭難する可能性はある。危なくない所でもだ。今回の場合は見事な遭難処置で、見本にしたい位だ。ユーチューバー妻は、もうやめ様と迄思ったが、多くの励ましを受けて再開した。遭難を減らす為に色々なアドバイスをしている。心無い中傷に負けず頑張れ!

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