2024年8月23日金曜日

閑話番外 その百六十三

 


 篠笹、別名篠竹と言う。細い竹が密生し、そこを突破しようと思うとぞっとするのだ。西丹沢に多い。特に菰吊山(こもつるしやま)山頂付近は篠竹に覆われている。

 本文でフジモク沢を詰めた苦労は書いた。菰吊山の三角点を越えて大栂へ向かう時、篠竹密集地を避けてトラバースして滑り落ち、篠竹の滑り台に乗って一気に沢の合流点迄滑り落ちたのも、本文に書いた。地図を見直すと水ノ木沢詰め上げ近くの900m地点が落下地点でであろう。300mも滑落したのだが、篠竹の上を滑ったので怪我一つなかったのは、若さとラッキーの複合だったと思う。

 滑り落ちている時、何とか滑落を停めようと篠竹を掴もうとするが、速過ぎて掴むどころではない。唯々滑って行ったのだ。着地の前にスピードが緩み、トンと言う感じで沢に立った。相当ラッキーだったと、今更乍ら思います。スピードに乗った侭で沢に叩き付けられたら、無事ではなかった。

 思い出話になった。その篠竹だが、本名の篠笹でお分かりの通りに笹の一種である。稲の親戚だ。まばらに生えている事もあるが、密生してる事が多い、と経験上感じる。

 篠竹こぎはご勘弁をだが、もうやる機会はないだろう。嬉しい反面寂しくもある。あんなべら棒な苦行を続けていたら、そこで寿命が尽きて永久に発見されず、生命保険もおりずに家族に苦労を懸けるばかりだもんねえ。

 悪い事ばかりではない。ガレザレ登りで篠竹が一本あれば、それを掴んで手掛かりにできる。二本あれば尚宜しい。あんな細い癖に丈夫なのだ。何せ手掛かりもない中の篠竹様、本当に嬉しい。岩角だってボロリと崩れるんだもん。そんなとこ登る事はもう絶対ないです。ガレザレ登りには相当な筋力が必要なのだ。それにバランスと。今は両方共見事にない。

 今では菰吊山付近の篠竹もかって程の勢いはない。時代は変わって行くのですな。

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