2026年1月9日金曜日

閑話番外 その百八十八


 

 前章で黒戸尾根の話が出た。甲斐駒ヶ岳の北へ伸びる尾根で、甲斐駒へ一気に突き上げる尾根だ。あたしは登った事がないと書いた。

 昔々に”日本三大急登”の一つとされていた。もう一つはブナ立て尾根、七倉から烏帽子小屋への急登だ。裏銀座の下山道となる。そして赤岩尾根。冷(つべた)小屋の一寸と西から下る尾根だ。鹿島槍へは皆さんこの尾根を登った。上の写真は赤岩尾根から見た鹿島槍、借り物です。今は殆ど使われてない筈だ、随分昔にバスも通わなくなったし。

 三つ共、超人気コースの尾根である。大分前に三大急登の話が出た時、次女は黒戸、ブナ立て、西黒尾根が三大急登だと言う。西黒尾根は谷川岳から東に下る尾根だ。

 赤岩尾根が使われなくなって、変化したものと思われる。西黒尾根だって天神尾根がメインとなった限りは、やがて三大急登から外される事になるのだろう。

 結局人気のコースで登降者が多く、あそこは辛いぞと皆さん仰るから、三大急登なぞと呼ばれるのだ。時代と共に変わるのは至極当然でしょうな。

 赤岩尾根は最後にほぼ垂直な岩場となる。冷小屋へ巻き道があるが、雪が積もると通行不能になって岩場を這い上る事になる。ピッケルを肩に差し込み登るのは未だ増しだが、下るのは偉く難儀だ。本文に書いた覚えがある。あたしは登っただけだけだけど。

 では本当の三大急登はどこ? 分からないが正解だ。標高差、斜面の平均角度、歩き辛さを数値化して比べたデーターは存在しないから。そんな面倒は誰もやらんでしょう。結局自分の感想が全てってこってす。

 清水部落から巻機山も候補に挙げて良いかな。折立から太郎小屋だって中々なもんだ。平ヶ岳を北からの尾根で登るのも凄いだろう。赤石岳から椹島の尾根も候補でしょう。

 ってなどうでも良い話、失礼しました。

2026年1月6日火曜日

閑話 その五百二十四


 

 箱根駅伝は予想通りになって、とても嬉しいよお(涙)。

 次女がこの週末に黒戸尾根を登って甲斐駒ヶ岳へ行くと言う。実は次女は離婚して独身だったが、去年七月に結婚した。彼女がダイヤモンドコースをやった頃から予感はあった。同行者の話が出なくなったのだ。ははー、男と一緒だなと、これは親の勘ですな。そして山好きの男性と一緒になったのは目出度い。

 黒戸も一緒に行くのだが、彼は七丈小屋で幕営すると言う。これからのトレーニングだと。時代が変わって冬も七条小屋は営業している。登山者が増えたんですなあ。だったら小屋に泊まりたいと次女は訴える。当然でしょう、環境が天国と地獄。特に女性にとってはトイレの楽さが大違いだ。「隙ならテントにどうぞ、私は小屋に泊まるから、と言えば良いんだよ」と父親は無責任である。結局次女が折れてテントに決まった様だ。

 上の写真は行者小屋のテント場。七条小屋のテント場はこんなに平らではなく、小屋の下で梯子を登って行く。依ってアイゼンも着けなきゃならない。おお、嫌だ嫌だよー。

 彼はやがて上越国境線にも入りたいのだろう、少しでも慣れておこうと言う気持ちは分かる。まあ、四十代前半だもんねえ、冬山の幕営も頑張れるってもんだ。ふっふっふ、五十代になるとそうはいかなくなるんだよ。

 ああ四十代前半、キスリングを背負ってさーっと歩けた。冬の幕営もへっちゃらさ。撤収だけは余りの冷たさに、毎度音を上げたもんだけどね。とか書いてるが、記憶は都合の良いもので辛かった事は薄らぎ、楽しかった事が強く残る様だ。よーっく思い出すと、一人で雪を踏み、テントを張って雪を溶かし、一人で碌に眠れぬ夜を過ごす。テントには氷の花がびっしり。朝には全てが凍っている。

 余り楽しくはなさそうだ。でも次女は夫と二人、楽しく冬のテントで過ごせるでしょう。

2026年1月2日金曜日

休題 その六百十五

 


 穏やかなお正月を迎えて、皆様おめでとう御座います。

 箱根駅伝往路が終わって、明日勝負が決するのだが、既に青山学園三連覇が見えたので今日書いておく。予想が外れればとても嬉しいが、まず外れる事はないでしょう。

 一区は城西がトップで青山は十六位だった。直ぐにトップは中央大学になり、早稲田が続く展開で暫く進んだ。箱根駅伝伝統校同士の戦いである。優勝回数は中央が十四回でトップ、早稲田がそれに次ぐ十三回なのだ。あたしは伝統校の鍔迫り合いだとワクワクした。何十年振りの出来事だろうか。そんな楽しみも、青山が圏外にいるからこそである。

 処がですよ、青山はじりじりと順位を上げて、山登りの五区に掛かる時は五位に付けていた。トップの中央との差は三分二十四秒、普通なら安全圏だが、青山の黒田キャプテンは違った。城西大学と国学院を抜き、早稲田に抜かれて二位の中央を抜き、あと1Kmで早稲田を抜き去ってトップでテープを切った。

 区間記録を一分五十五秒も縮めた途轍もない区間新記録であった。普通は数秒とか十数秒縮めるもんでしょうが。黒田君は時計を持たずに走る。自分のペースを信じると言う事だろう。そしてそうなった。

 早稲田も決して遅くはなかった。当然逃げ切れる場面だったが、黒田君がバケモノ級であったのだ。うーん、全体の水準はこうして上がって行くのですね。

 インタビューで黒田君は「私が”新山の神です”」と言い切った。全くその通りです。当分破られない記録であろう。

 青山に何の恨みもないが、復路はグリーンの独走になるのだから面白くも何ともない。早稲田か中央が抜き返せば面白くなるが、選手の厚みが違う。とてもじゃないが、無理な相談ってもんでしょう。復路が詰まんなくなっちまったが、実力の差ってもんです。