2016年2月11日木曜日

閑話番外 その八十八




 前回の閑話の写真は中央アルプスの空木岳(うつきだけ2864,2m)から見た主稜線と御岳山だ。
 中央の冬は単独でも入りやすい。北アルプスで雪を殆ど落とすので中央は其れ程積雪無い。南や八つと同じ。フェーン現象で北より冷えるのも同じだ。
 池山尾根から入りマセナギで幕営し、頂上をピストンしてもう一泊、翌朝下ったのだ。二日目の夜にテントが雷雲の中に入ってしまい、冬には珍しく雷の洗礼を受けた。
 至近の前後左右情報でバチッと音と同時に光るのだが、テントの中が青くまぶしい程に照らされた。何時直撃を喰らうかとなるべく真ん中で固まっていた。
 テントはバシバシバシバシと霰に叩かれている。勿論風には揺さぶられている。そしてピカーッと照らされる。怖かったですよ。
 結局30cm程の新霰が積もった。トレースが埋もれたので心配したが、尾根を外さずに無事に下れた。
 中央には良い山が多い上にドカ雪の心配も無い。それにしては人が入らない。とか言うあたしも中央の冬は二回だけだ。
 ロープウエイを使って宝剣岳なら行けるかも知れない。死ぬまでに一度挑戦して見ましょう。

2016年2月7日日曜日

閑話 その百八十一



 前回の続きです。前回の写真は五月連休の涸沢。春だし快晴なので快適そのものだ。天気が崩れると一気に冬に戻るのが凄い。雪はバリバリと凍って行くのですぞ。
 急に朝にしてしまったが、勿論夜を過ごさなければならない。これも春と冬とでは天国と地獄の差が有る。
 春は良い。余程の悪天候でなければ何とか眠れる。夜中に小用を足すのも苦にならない。星を見上げて「すげー!」と言う余裕も有る。
 冬はそうは行かない。着込むだけ着込んでシェラフに潜り込むのだが冷たさにうめく(寒さでは無い)。ひたすら体が温まるのを待つのだ。相当辛い。
 うっかり小用を足そうとすると、オーバーミトンを足に履き、雪を払ってテントに入る時には体は冷え切っている。氷点下二〇℃以下の世界なのだから。そして又シェラフの中で冷たさにうめくの(涙)。
 従ってぐっすり寝た記憶は無い。良くてもウツラウツラする位だ。ま、普段から余り眠れないたちなんで仕方が無い。
 シェラフの中に懐中電灯も入っている。外に手を出さずに済むからだ。手を出すとつべたいのだあ。眠れぬまま電気を点けて時計を見る。何度も見る。やがて零時近くとなる。大分焦って来る。
 焦っても仕方無い事なのだ。つべたいのを覚悟して半身を起こし、ウイスキーをがぶっと飲む。するとウトウトするってのが通常のパターンだ。そして朝、氷の粒を浴びながら起きるのだ。
 体力がガクッと落ちた今、もう冬山の幕営は出来ないだろう。小屋泊まりでやっとだ。大体からして、冬山にも行けないのでは。。。。。
 最後は繰り言になっちまったですな。冬山に行ける事を目的にリハに励みましょう。

2016年2月4日木曜日

閑話 その百八十




 前回の続きです。冬の幕営。
 朝を迎えるのだが、冬と春とは大違い、天国と地獄の差、は言い過ぎかな。
 冬なら、シェラフを開けるとバラバラと氷が顔にかかる。息が氷となってシェラフに付いて居るのだ。そしてテントは真っ白な氷の花に飾られて居る。うーん、綺麗だが嬉しくなんて無い。
 前夜にコヘルに造って置いた水は、氷の塊と化して居る。先ずすべき事は、コヘルーナーに掛けて、氷を融かす事だ。
 春ならば、余程の事が無い限り、バラバラと氷に襲われたりはしない。そしてテントに氷の花が咲く事も、ほぼ無い。水だって、水の侭だ。薄氷位は張って居てもで有る。
 いずれにせよ、先ずはコーヒーを沸かす、インスタントだけど文句なんざ言わない、家でもインスタントなんだから。でも、極たまにカップ用のレギュラーの事も有る。すると、テントの中がコーヒーの香りで満たされる。勿論其の方が良いのだが、贅沢は言わい。
 アルミカップのコーヒーは、唇に熱いのが欠点だ。アチアチアチ、となる。冬だと、見る見る冷めるのが良いんだか悪いんだか。
 此のコーヒーを飲み乍らの一服が、朝の楽しみなのだ。でも、コーヒーだけを嗜んで居るのでは無く、チーズなぞも食してカロリーを補いつつ朝飯の仕度をするので、結構忙しくは有る。
 朝食ったってカップ麺なのだ。其れにソーセージやチーカマ。時間を取らずに手間いらずで、此のところ定着したメニュー、思えば哀れなもんですなあ。
 パッパと朝飯を済ませて、ザックのパッキン。テントの中で靴を履き、スパッツも着ける。冬なら皆さんそうだが、春だとテントの外で靴とスパッツ、が普通だろう。あたしは相当好い加減な訳だ。
 ザックを表に出してからが大仕事。撤収で有る。凍ったペグをピッケルで掘り出し、テントを畳む。寒さに弱いあたしの指は、千切れる程の痛みとなる。あー、ヤダヤダ。。。。
 テントを仕舞ってザックを背負い、今日の行程の一歩を踏み出すのです。

2016年2月2日火曜日

閑話 その百七十九




 副題は雪の幕営。経験者は多いと思うが、語るに足るテーマだ。それにまだまだ寒い日が続く。寒い時期には寒い話ですなあ。
 先ずは平らな所を見つける。有るか、そんなとこ! メインルートで幕営地なら別だなんだが、確かに滅多に無い。言い直そう、少しの労力で平らになりそうな所を見つける。
 雪を蹴ったり踏んだり、雪を固めると同時に平らになる様にならすのだ。そしてテントを張る。ペグはプラを使うのが普通だ。あたしの場合は好い加減なので、ペグを横にして埋める。其の上に雪を集め、踏みつける。
 晴れて居れば楽しい作業だ。家に入れるのだから。天候が悪いと、其れなりに手間が、張れば入れるのだ。はっはっは、張り合いが有るとは此の事ですなあ。
 荷物をテントに放り込んでも、未だ靴を脱いではいけない。コヘルとレジ袋に雪を詰めるのだ。春山ならギュッと詰まるので楽なのだが、冬山では幾ら詰めてもスカスカだ。
 其れが済んでから、やっと我が家へ入る。ざっと荷物を整理したら、コヘルをバーナーに掛ける。雪を融かして水を造るのだ。此れがテント設営に次ぐ重要事項で有る。
 春山ならば水気の多い雪がぎっしり詰まって居るので、割と簡単だ。冬山だと、差し水をしなければならない。パウダースノーだから、コヘルの底に微小な空間が無数に出来る。下手に火に掛けると、コヘルが痛む。
 其の上、コヘル一杯の雪が解けても、二分目位にしかならない。従って、様子を見乍ら雪を補充し続ける。たまにコヘルに着いた露も拭き取らねばならない。結構面倒だ。
 とか言って、此の時間が一番ほっとする時間なの。一杯飲み乍ら一服点けて、雪の様子を見守るのだ。大分水が出来て来たら、アルミカップに水を汲み、一時雪融かしは止て、コーヒーを沸かす。ふっふっふ、中々良い時間なのだ。
 水が充分出来たら、あとは普段の幕営と変わらない。夕飯を造って酒を飲み、明日の地図を見直し、煙草を吸って酒を飲む。夕食が済めば話し相手も居ないので、小用をたすついでに景色を眺めて、寒い寒いとテントに戻る。雪を払って靴を脱いで、一寸と面倒だが。
 で、とっとと寝ちまうと言う、シンプルな生活なのです。

2016年1月28日木曜日

休題 その百六十一




 スタンリー・キューブリックは寡作な監督で有る。十六作(多分)しか残さなかった。それでも世界の名監督だ。質の良い作品が並んだってこってしょう。
 彼のベストスリーを、例に依って偏見と独断で選ぼうと言う訳だ。勿論、異論だらけなのは分かってますって。
 三位。 「突撃」
 まあ、既にブーイングでしょう。でも、良く思い返して欲しい。あの緊迫感と不条理とブラック感、そして名ラスト。
 これぞキューブリックだ、と思わせる名画だとあたしには思える。観て無い人も居るだろう。絶対にお奨めする。
 二位。 「2001年宇宙の旅」
 うーん、ブーイングだろうな。多くのフアンはトップに置く筈だ。フアンで無くとも此の作品は映画史上に輝ける存在で、別格だと言っても過言ではないのだ。
 あたしが十代の頃の作品だが、三度ロードショウを観に行ったとは前に書いた。半端な衝撃では無かったって事だ。
 倅が高校生の頃、蒲田で此の作品の上映が有った。小遣いを渡して観に行かせた。「凄いよ、後から効いて来る」との感想、時代なんざ飛び越えて威力を発揮するのだ。今に至ってもSFの金字塔で有る。どんだけ優れたもんなんだろう。
 でも、あたしには二位なのだ。私見が全面なのだが、そんな愚ログなんです。
 一位。 「博士の異常な愛情」
 本当の題名はもっと長いのだが、寿限無じゃ無いので、一般に使われて居る題名を使用する。そう、此れこそがスタンレー・キューブリックだ。
 緻密な描写、現実味と有り得ない感の絶妙な混合、そして情け容赦無くとことん追い詰める力量。
 ブラックジョーク映画なぞと思ってはいけない。凄く真面目な映画だ。造り方が冗談っぽいだけだ。
 以上があたしのベストスリー。 だからあ、異議が有るのは分かってますって(汗)。